御器谷法律事務所

「不在者財産管理人」

1.「不在者財産管理人」とは、
 従来の住所又は居所を去った者で、容易に戻る見込みのない者を、民法では「不在者」と呼んでいます(民法第25~29条)。
 この不在者に法定代理人やその人のための財産管理人を置かなかったときは、利害関係人や検察官の申立てにより、家庭裁判所は、「不在者財産管理人」を選任する等の不在者の財産の管理について必要な処分を命ずることができるものとされています(民法25条)。そして、この不在者財産管理人選任の審判の申立てをするには、不在者の戸籍謄本、戸籍附票、不在の事実を証する資料や報告書、不在者の財産に関する資料、申立人の利害関係を証する戸籍謄本や資料、財産管理人の候補者の住民票や戸籍謄本等を添付して、不在者の従前の住所地の家庭裁判所に申立てをします。

2. 不在者財産管理人の選任手続
 家庭裁判所においては、申立書や添付資料を確認し、また、申立人から事情を聴取したり、場合によっては関係者や関係機関(裁判所、法務省、警察等)に照会、調査をしたりします。そして、家庭裁判所は、不在者財産管理人を選任するときには、不在者の財産の管理が適法かつ適切に行えるよう適格な人選をし、親族や事案によっては弁護士や司法書士等が選任されることもあります。

3. 不在者財産管理人の職務、権限
 不在者財産管理人は、まず、不在者の財産関係を調査して、財産目録を作成しなければならないものとされています(民法27条)。その費用は、不在者の財産の中から支弁するものとされています。そして、不在者財産管理人は不在者の財産の管理状況を家庭裁判所に報告するものとされています。
 このように不在者財産管理人の主な職務は、不在者の財産目録の作成、家庭裁判所が不在者の財産の保存に必要と認める処分を行うこと、財産状況の報告、管理の計算(家事審判規則第33条)、保存行為、目的の物や権利の性質を変えない範囲における利用や改良行為であり、これらを超える行為には家庭裁判所の許可を得ることが必要とされています(民法28条)。
 なお、不在者財産管理人の上訴権限につき、次の最高裁判所の判決があります(最判昭和47年9月1日)。
 「家庭裁判所の選任した不在者財産管理人が民法一〇三条所定の権限内の行為をするには、その行為が訴または上訴の提起という訴訟行為であつても、同法二八条所定の家庭裁判所の許可を要しないものと解すべきところ、被上告人の提起した本訴建物収去土地明渡等の請求を認容する第一審判決に対し控訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審判決に対し上告を提起することおよび右訴訟行為をさせるため訴訟代理人を選任することは、いずれも上告人の財産の現状を維持する行為として同法一〇三条一号にいう保存行為に該当するものであるから、本件不在者財産管理人および同人の選任した訴訟代理人は、同法二八条所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、本件第一、二審判決に対する上訴を提起する権限を有するものというべきである。」

4. 不在者財産管理人の改任、責任
 家庭裁判所は、いつでも不在者財産管理人を改任することができるものとされ(家事審判規則第32条)、また、管理人に財産の管理や返還について相当の担保を立てさせることができ、不在者の財産の中から相当な報酬を管理人に与えることができるものとされています(民法29条)。
 なお、不在者財産管理人が万一不在者の財産を不正に費消等したときは、民事上は損害賠償請求を受け、また、刑事上は業務上横領罪等に該当することがありますので、十分注意しなければなりません。

5. 不在者財産管理の終了
 そして、この不在者財産管理人が選任されたときにおいても、本人が自ら財産を管理することができるようになったとき、又はその死亡が明らかになったとき、もしくは失踪宣告があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の申立てによって、その命じた処分を取り消さなければならないものとされています(家事審判規則第37条)。
 
 この不在者財産管理人につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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