御器谷法律事務所

債権者申立ての破産

1. 破産申立ては債権者からも可能
 破産法上、破産手続開始の申立ては債権者又は債務者がすることができるとされています(18条1項)。申立ては一般的に債務者からなされること(自己破産)が多いですが、債権者にも申立権が認められています。なお、司法統計によれば、平成19年度における地方裁判所の新受破産事件のうち、自己破産事件が157,245件であるのに対し、債権者申立てにかかる事件は644件です。
 自己破産の場合と異なり、債権者は申立てをする段階で、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる支払不能・債務超過の事実を疎明(そめい)する必要があります(18条2項)。

2. 債権者による破産申立ての意義とは
 破産手続開始を申し立てる債権者にとっては、破産手続きの有する次のような特性・機能に利点を認め得るといえます。
 破産手続きにおいては、債務者の総財産が債権の引き当てとなります。この点は、強制執行手続ではその対象が個別財産に限られるのと異なる特性です。さらに、破産管財人による双方未履行双務契約の解除権(破産法53条1項)、否認権(160条以下)の行使等を通じて引き当てとなる財産(破産財団)が増加することもあります。
 また、とくに債権者が会社や個人事業主といった企業である場合には、破産手続きは財務状況を改善する機能を果たし得るものです。債権者において、回収困難な債権を資産として有しているよりも、破産手続きによって幾分かでも配当を受けるとともに回収のできない部分を損失処理することで、財務状況の回復が期待できるのです。
 但し、この債権者の申立てによる破産申立てによって、債務者側としては経済的、精神的にも追い込まれ、破産開始決定の審理が混乱、紛糾する例もありました。

3. 提出資料の収集及び審理
 債権者申立ての場合には、上記のようにその有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実(支払不能・債務超過)を疎明しなければなりません(破産法18条2項)。その疎明資料として、債権の存在については確定判決、公正証書、和解調書、契約書、手形・小切手、売掛帳等の帳簿類、請求書等が、破産手続開始の原因となる事実については不渡りの手形・小切手、執行不能調書等があります。ここで、自己破産の場合も、破産手続開始の原因となる事実を証明する必要があり、そのために債務者の財産状況等に関する資料を提出します。これに対して、債権者による申立ての場合は、上記の疎明をするための資料の収集が自己破産の場合と比較して困難なことがあります。このようなときでも、申立人債権者としては可能な限りで資料を入手し提出することになります。
 そして、破産手続開始原因の審理では、主として申立人の提出した資料と債権者及び債務者に対する審尋が行われるのが一般です。債務者が破産開始決定を納得しない場合には、破産手続開始原因を争って厳しい攻防が行われた例もありました。

4. 予納金について
 破産手続開始の申立てをするときは、申立人は破産手続の費用として予納金を求められます(破産法22条1項)。債権者申立ての場合には、破産管財人を選任する場合の金額が要求されます。東京地方裁判所の破産部では、通常管財事件の予納金の基準として負債総額に応じた一応の目安が設けられていますのでご参照ください(下表)。この破産予納金は、地方により、又事案によっても、大きく異なることがありますので、事前に裁判所にご確認下さい。
 債権者が納めた予納金返還請求権は財団債権となり(148条1項1号、同2号)、かつ他の財団債権に先立って破産財団から支払われます(152条2項)。ただし、予納金が返還されるだけの財団が形成されるには至らなかった場合、返還を受けられない部分は予納した債権者が負担することとなります。

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