御器谷法律事務所

FCと事業差止の仮処分

1. 事案の概要
・H19.5/28:X→Y:更新拒絶通知(信頼関係の破壊)
・H20.5/15:Y:「ほっともっと」名で、新たに持ち帰り弁当事業をFC

2. 東京地裁平成20年3月28日決定
Xによる本件地区本部契約の更新拒絶にはやむを得ない事由が存在せず、更新拒絶の意思表示は無効であり、したがって被保全権利の疎明がないとして、抗告人の本件仮処分の申立てを却下した。

3. 東京高裁平成20年9月17日決定
・抗告を棄却
・当裁判所は、本件地区本部契約が抗告人の更新拒絶の意思表示によって期間満了により終了したこと、相手方に信義則上の競業避止義務に違反する行為が存在すること、相手方と加盟店との間の加盟店契約に基づく相手方のエリアフランチャイザーとしての地位は本件地区本部契約12条2項により本件地区本部契約の終了に伴って抗告人に移転したことが認められるが、これらによっても、抗告人の相手方に対する競業行為の差止め及び抗告人に対する従前の加盟店への勧誘行為の差止めを求める本件仮処分の申立ては、これを認容することができないものと判断する。
・争点(1)(本件地区本部契約の帰趨)について
相手方は、平成19年8月、東京都港区内等の数か所で、「ほっかほっか亭」のコンセプト(「炊きたてご飯」と「作りたてのお総菜」)に反して、その調理店(直営店)から数キロ離れた場所でランチカートを用いた弁当のワゴン販売を行い、その中止を求める抗告人の警告に従わず、そのため、抗告人は、平成19年10月、相手方により弁当のワゴン販売の差止めを求める訴訟を提起することを余儀なくされたこと
 マスターフランチャイザーである抗告人とエリアフランチャイザーである相手方との信頼関係は主として相手方の上記のような行為によって破壊されるに至ったものと認めるのが相当であり、抗告人は本件地区本部契約の更新を拒絶することができるものというべきであって、抗告人が本件地区本部契約の更新拒絶の意思表示をしたことにはやむを得ない事由があったものというべきである。
・争点(2)(相手方の競業避止義務の存否)について
本件地区本部契約が終了した場合においては、特段の事情のない限り、本件地区本部契約に付随する義務として、信義則上、相手方は抗告人に対して一定期間の競業避止義務を負うものと解するのが相当であり、そして、その競業避止義務の内容としては、契約終了後一年間持ち帰り弁当事業をいかなる名称や態様によっても本件地区本部契約に係る地区(テリトリー)内では行わない旨の義務であると解するのが相当である。

差止請求の可否について
 上記のとおり、相手方には競業避止義務に違反する行為が認められるものである。そして、今後もこの競業避止義務に違反する行為は継続するものと推測される。
 そこで、さらに進んで、抗告人が相手方の今後の競業避止義務違反行為を差し止めることができるか否かについて検討する。この点については、当裁判所は、抗告人が相手方の上記競業避止義務違反を差し止めることまではできないものと判断する。その理由は、次のとおりである。
 抗告人が相手方の競業避止義務違反行為を差し止めることができるか否かについては、相手方の負担する競業避止義務の性質や内容等、換言すれば、抗告人が相手方に対して有する実体法上の競業避止請求権の性質や内容等を考慮して、この競業避止請求権の効力として裁判所にその履行の強制を求め得るか否か(裁判所に不作為命令の発令を求め得るか否か)を検討すべきところ、この点については、(1)相手方の抗告人に対する上記競業避止義務は、前記のとおり、相手方と抗告人との合意によって発生したものではなく(すなわち、相手方の承諾により発生したものではなく)、本件地区本部契約に付随する義務(債務)として信義則上発生したものであって、あくまでもそれは本件地区本部契約に付随する義務であり、したがって、競業避止請求権自体に履行自体の強制を求め得るような強い効力があるものとは解し難いこと、(2)なお、一般的にも付随的義務は、それが付随的義務にとどまる限り(合意によって契約内容に高められない限り)、履行自体の強制をされるものではない(義務者の任意の履行に期待する以外に履行自体の表現の方法はない)と考えられていること、(3)また、前記のとおり、競業避止義務は義務者の営業の自由を強く制約するものであること、(4)本件において、確かに相手方の競業避止義務違反による抗告人の被害は甚大ではあるが、相手方がその「ほっともっと」フランチャイズチェーンによる持ち帰り弁当事業を差し止められることによって被る損失・負担も甚大であり、特にその加盟店に及ぼす影響には極めて大きいものがあると認められること、以上の点にかんがみると、抗告人は相手方に対して競業避止請求権の効力として競業避止義務の履行の強制を裁判所に求めることはできないものというべきであり(本案によるにせよ、仮処分によるにせよ)、最終的には、競業避止義務違反を理由とする金銭的損害賠償の請求(民法415条)によって満足するほかないものというべきである。

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