御器谷法律事務所

一定の取引分野


1. 独禁法における「一定の取引分野」とは、
 一般的には、事業者による競争が行われている場、すなわち「市場」を意味するものとして捉えられています。
 この「一定の取引分野」は、
(1) 取引の対象である商品又は役務による特定、
(2) 取引の地域ないし地理的範囲による特定、
(3) 取引の段階、つまり、製造分野か、卸売分野か、小売分野か、による特定
(4) 取引の相手方、つまり大口需要者か、一般消費者か、による特定
 等を行って画定されます。
 なお、この市場の画定に際しては、いわゆるブランド間競争のみならず、同一商品・役務におけるいわゆるブランド内競争も問題とされる、とされています。

2. 企業結合ガイドライン
 「一定の取引分野」の画定については、公正取引委員会が平成16年5月31日に発表した「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」に一定の基本的考え方が述べられています。
(1) 基本的考え方
 「一定の取引分野は、取引対象商品(役務を含む)、取引の地域(地理的範囲)、取引段階、特定の取引の相手方等の観点から画定される」
(2) 商品範囲
 「商品範囲は、需要者からみて取引対象商品と機能及び効用が同種である商品ごとに画定される」 
 1) 用途−取引対象商品と同一の用途に用いられているか、
 2) 価格・数量の動き等−価格水準の違い、価格・数量の動き等が考慮
 3) 需用者の認識・行動が考慮
(3) 地理的範囲
 1) 供給者の事業地域、需用者の買い回る範囲等
 2) 商品の特性−鮮度や破損のしやすさ、重量物か等
 3) 輸送手段・費用等
(4) その他
 取引の段階、大口需要者向け取引分野と小口需要者向け取引分野の画定等

3. 判例等の紹介
(1) 石油価格協定事件−東京高裁 昭和31年11月9日判決
 原告らの石油製品の販売はいわゆる元売として各その傘下配給系路を通じてする一般消費者向けのものとともに、別に官庁その他のいわゆる大口需要者に対して元売業者自ら直接これを販売するものであることも、本件において明らかである。
 全体としての石油販売市場の中に、さらに大口需要者に対する元売業者の直接販売という、細分された取引分野が形成され、これが元売業者の傘下系路を通ずる一般需要者向け販売から区別されるべき一の競争圏として成立するとみるのを相当とし、この点に一定の取引分野が存するとする審決の判断は正当である。

(2) 目隠しシール入札談合刑事事件−東京高裁 平成5年12月14日判決
 「一定の取引分野」を判断するに当たっては、主張のように「取引段階」等規定の概念によって固定的にこれを理解するのは適当でなく、取引の対象・地域・態様等に応じて、違反者のした共同行為が対象としている取引及びそれにより影響を受ける範囲を検討し、その競争が実質的に制限される範囲を画定して「一定の取引分野」を決定するのが相当である。
 社会保険庁の発注にかかる本件シールが落札業者、仕事業者、原反業者等を経て製造され、社会保険庁に納入される間の一連の取引のうち、社会保険庁から仕事業者に至るまでの間の受注・販売に関する取引であって、これを本件における「一定の取引分野」として把握すべきものであり、現に本件談合・合意によってその取引分野の競争が実質的に制限されたのである。

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