御器谷法律事務所

消費者団体訴訟


第1 消費者団体訴訟制度について
  1. 消費者団体訴訟制度とは、一定の消費者団体が、消費者全体の利益を擁護するため、事業者の不当な行為に対して差止訴訟を提起することを認めるものです。
     この制度により、消費者契約法に違反した勧誘や契約行為の差止請求が可能となり、悪徳商法の被害の拡大が防止できると考えられます。

  2. 従来の消費者契約法においては、個々の消費者に事業者の不当な行為の差止めを求める権利は認められていませんでした。また、悪徳商法の被害にあった消費者一人ひとりの被害金額が少額である場合には、損害賠償を求めて裁判に訴えるのが難しいことがありました。
     このような場合に悪徳商法をそのまま放置すれば、消費者被害はいっそう拡大してしまいます。例えば、悪質なリフォーム業者が認知症の消費者を対象とした事件の発生がありましたが、事件になるかなり前から消費者団体や各地の消費生活センターに悪質リフォーム業者に関する情報は寄せられていました。にもかかわらず、消費者団体には当該事業者の事業活動を差し止める手段がないことから、結果的に被害が全国に広がることとなってしまいました。

  3. このような現状を改めるため、平成18年6月7日公布、平成19年6月施行の消費者契約法の改正においては、上記の消費者団体訴訟制度が採用されました。
     かかる消費者団体訴訟制度の採用により、消費者契約法上「適格消費者団体」に当たる団体は、一定の事業活動につき差止めをなすよう訴えることが可能となりました。これにより、悪徳商法の被害者が拡大することが防止できるようになると考えられます。
     ただし、適格消費者団体は、損害賠償請求をすることはできません。
第2 法改正の具体的内容について
  1. 差止の対象となる行為
     適格消費者団体は、事業者等が不特定かつ多数の消費者に対して、消費者契約法第4条に規定する勧誘行為(重要事項について事実と異なることを告げる、重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に告げない等)又は同法第8条から同法第10条までに規定する契約条項(事業者の損害賠償の責任を免除する条項、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項、消費者の利益を一方的に害する条項)を含む契約の締結の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該行為の差止請求をすることができる、とされています。
     このように、適格消費者団体が差止請求をできるのは、消費者契約法に違反する行為に対してだけとされています。
     この点については、弁護士会から民法96条、90条、借地借家法の強行規定に反する行為についても差止請求を認めるべきとの批判がなされております。

  2. 適格消費者団体
     内閣総理大臣は、適格消費者団体の申請をした者が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、その認定をすることができる、とされています。
    特定非営利活動法人又は民法第34条に規定する法人であること。
    不特定かつ多数の消費者の利益の擁護を図るための活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。
    差止請求関係業務を適正に遂行するための体制及び業務規程が適切に整備されていること。
    差止請求関係業務の執行決定機関として理事会が置かれており、かつ定款又は寄付行為で定めるその決定の方法が適正であること。
    理事の数のうちに占める特定の事業者の関係者の割合が3分の1を越えていないこと。
    理事の数のうちに占める同一の業種に属する事業を行う事業者の関係者の割合が2分の1を越えていないこと。
    差止請求についての検討を行う部門において、専門委員(消費生活に関する専門家、法律に関する専門家)が必要な助言し又は意見を述べる体制が整備されていること。その他差止請求関係業務を遂行するための人的体制に照らして、差止請求関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。
    差止請求関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
    差止請求関係業務以外の業務を行う場合には、その業務を行うことによって差止請求関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。

  3.  差止請求権の行使等
    適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益のために、差止請求権を適切に行使しなければならない。
    適格消費者団体は、差止請求権を濫用してはならない。
    適格消費者団体は、事案の性質に応じて他の適格消費者団体と共同して差止請求権を行使するほか、差止請求関係業務について相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。
    適格消費者団体は、差止請求の訴えその他の行為について、他の適格消費者団体に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
      
 この消費者団体訴訟につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい


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