事業者団体への独禁法上の規制
1. 事業者団体とは、
独占禁止法上、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいいます(法§2・(2))。
二以上の事業者の継続的な結合体であれば、法人格の有無や、定款等の有無も特に問わないものとされています。
事業者団体は、同業者等が集まり価格や生産量等につき情報の交換等を行いカルテルの温床となることも多く、組織的結束力もあり、競争秩序への危険性も大きいことから、独禁法は事業者以上に厳しい規制を定めています。過去における審決事件の約4割位を8条事件が占めていたとの指摘もあります。
2. 事業者団体の届出制(法§8・(2)〜(4))-廃止
事業者団体は、その成立の日から30日以内にその旨の届け出をし、変更のときはその旨を、又、解散のときはその旨を、一定の期間以内にそれぞれ公取委に対して公取委規則の定めるところにより届出なければならないものとされていました。
これは、公取委が事業者団体に対する監視の実をあげるためとされていました。
なお、この事業者団体の届出制は、平成21年7月10日をもって、廃止されました。
3. 事業者団体の禁止行為(法§8・(1))
事業者団体は、次の行為をしてはならないものとされています。
| (1) |
一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。(1号) |
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事業者団体が行う私的独占及び不当な取引制限を禁止しています。事業者における独禁法3条に対応しています。
なお、構成事業者の取引段階は特に問うことは必要ではなく、又、相互拘束の要件も特に問うものではないとされています。
また、カルテルが事業者団体を通して行われたときは、事業者団体については§8・(1)・1号違反とされ、構成事業者につき不当な取引制限の要件を充たすときは法§3違反ともなりうると考えられます。
石油価格協定刑事事件−最判昭和59年2月24日
「独禁法上処罰の対象とされる不当な取引行為が事業者団体によって行われた場合でも、これが同時に右事業者団体を構成する各事業者の従業者等によりその業務に関して行われたと観念しうる事情のあるときは、右行為を行ったことの刑責を事業者団体のほか各事業者に対して問うことも許され、そのいずれに対し刑事を問うかは、公取委ないし検察官の合理的裁量に委ねられていると解すべきである。」 |
| (2) |
不当な取引制限又は不公正な取引方法を内容とする国際的協定又は国際的契約をすること。(2号) |
| (3) |
一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。(3号) |
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事業者団体が、新規参入事業者を排除したり、既存事業者を排除すること等を禁止しています。
観音寺市三豊郡医師会事件−東京高判平成13年2月16日
医師会は事業者団体に該当し、医療機関の開設制限は法§8・(1)・3号に違反し、診療科目等の制限は法§8・(1)・4号に違反することを前提として、「私的な団体で、法的規制権限を与えられていない医師会としては、地域の医療状況等に関する情報を提供したり、合理的な範囲内で圧力・強制にわたらない助言・指導・意思表明を行うことが許されるにとどまると解される。医療機関も、医療法の公的規制の枠内で、自由競争の原則を通じて医療役務の提供の質的向上等を図ることが求められているのである。」 |
| (4) |
構成事業者の機能又は活動を不当に制限すること。(4号) |
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事業者団体が、構成事業者の事業活動に不当な制限を行い競争阻害的な効果が発生することを禁止しています。 |
| (5) |
事業者に不公正な取引方法をさせようとすること。(5号) |
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事業者団体が、アウトサイダーを市場から排除するために構成事業者の取引先等に対して取引拒絶等の不公正な取引方法をするよう事実上の強制や圧力を加えること等を禁止しています。事業者団体によるいわゆる間接ボイコットが本号に該当する典型と考えられます。 |
4. 事業者団体が禁止行為に違反すると、
事業者団体が上記のような禁止行為を行うと、次のような効果が発生します。
(1) 排除措置命令(法§8の2)
公取委は、事業者団体に対し、違反行為の差止め、当該団体の解散、その他当該行為の排除に必要な措置を命ずることができます。
そして、特に必要があるときは、事業者団体の役員、管理人、構成事業者に対しても、排除措置を命ずることができるものとされています。
(2) 構成事業者への課徴金(法§8の3)
事業者団体が独禁法§8・(1)・1号又は2号に違反し、価格カルテル、数量カルテル等を行ったときは、当該行為を行った構成事業者に課徴金が課せられます。
(3) 刑事罰(法§95)
事業者団体の代表者、管理人、代理人、使用人等が、その団体の業務又は財産に関して、独禁法違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、事業者団体に対しても各所定の罰金刑(上限は5億円)が科せられます。これを両罰規定といいます。
5. 事業者団体ガイドライン
公取委は、事業者団体への規制の解釈・運用の方針をまとめ平成7年に(平成18年改定)、「
事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」を公表しています。
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