御器谷法律事務所

執行免除の申立と保証金の没取

1. 執行免除の申立―独禁法第70条の6
 国公正取引委員会が排除措置命令をしたときは、被審人は、裁判所の定める保証金又は有価証券を供託して、この排除措置命令が確定するまで、その執行を免れることができるものとされています。
 この執行免除の申立は、東京高等裁判所に対して行うものとされています(法第86条)。
 排除措置命令は、公正取引委員会の行政処分であり執行力を有し、審判請求があっただけでは執行の停止はないものとされています。そして、東京高等裁判所は、被審人からの執行免除の申立てを受け、非訟事件手続法に則り、保証金又は有価証券を供託させて、その執行を停止することができるものとされています。
 この東京高等裁判所の審理は、公開・対審ではなく、裁判所の裁量的判断事項とされています。
 なお、この保証金の金額は、違反行為の規模、違反行為者の事業規模、違反行為者の悪質性等を勘案して、東京高等裁判所が裁量的に決しているものとされています。そして、具体的違反事例に応じて保証金の具体的金額も100万円~1,000万円位のものも見受けられます。
 例えば、平成22年の岩手県談合事件の中小の一建設事業者では執行免除の保証金が100万円とされた例がありました。また、同じく平成22年の大手企業に対する執行免除申立事件では、保証金が1,000万円とされた例がありました。

2. 保証金の没取-独禁法第70条の7
 被審人が執行免除の申立により保証金又は有価証券を供託した場合、その排除措置命令が確定したときは、東京高等裁判所は、公正取引委員会の申立てにより、供託した保証金又は有価証券の全部又は一部を没取し、国庫に帰属させることができるものとされています。
 この保証金の没取は、競争秩序への影響も考慮して、公益上の要請より安易な執行免除が行われることを牽制ないし抑制しようとするものとされています。
 被審人の権利保護を考えると、弁護士的には少々違和感を感じる規定とも言えます。
 東京高等裁判所においては、非訟事件手続法に則り、公開・対審ではなく、裁判所の裁量的判断とされています。
 なお、この没取については、岡崎管工事件保証金没取事件において東京高等裁判所(平成15年8月29決定)は、「審決の執行免除と審決確定による保証金の没取の制度は、違反行為の速やかな排除という公益上の要請と審決の執行による回復困難な損害の回避という被審人である相手方の利益保護の要請との調和を図るとともに、安易な執行免除の申立てを抑制することを目的とするものと解されるところ、本件訴訟の経過、本件訴訟における相手方の主張内容、本件審判後その確定までに経過した期間、保証金の額等の諸般の事情を総合すると、本件については、上記執行免除及び保証金没取制度の目的に照らし、保証金の全部を没取するのが相当であると判断する。」と判断しました。
 保証金の没取の例については、公正取引委員会の「審決等データベースシステム」等で関覧することができ、保証金の全額が没取されている事例が多く、又、半額没取の事例も見受けられます。

 この執行免除と没取につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
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