御器谷法律事務所

FCと独占禁止法

1. FCと独占禁止法
 フランチャイズ契約(FC)は、加盟者(フランチャイジー)を本部(フランチャイザー)の包括的指導等を内容とするシステムに組み込むという点で、通常の取引契約に比較して格段に強い契約関係を築くものであります。したがって、加盟に当たっての判断を誤らせるような行為が行われてはならず、また契約内容については、契約全体として本部と加盟者との間で均衡が保たれている必要があり、加盟者のみを不当に拘束するものであってはなりません。
 そこで、公正取引委員会は、フランチャイズ・ガイドラインを策定・発表し、その中で1)本部の加盟店募集に当たっての十分な情報開示の必要性(ぎまん的顧客誘引の問題)、2)本部と加盟店の取引面でのバランス(優越的地位の濫用の問題)、3)制限的な個別条項(抱き合わせ販売、拘束条件付取引、再販売価格維持)について、独占禁止法上の問題点を指摘しています。

2. ガイドラインの策定
 昭和58年時点において、フランチャイズ・システムにおける本部と加盟者間の取引において、どのような行為が独占禁止法上問題となるかについて、公正取引委員会がガイドラインを公表することによって、明らかにされていたところではありますが、その後のフランチャイズ・システムを活用した事業活動の形態の増加、各市場におけるその比重の高まり等の変化が生じたため、このガイドラインを改定した新しいガイドラインが、公正取引委員会から平成14年4月に発表されました。その正式名称は「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について(平成14年4月24日公正取引委員会)」であります。一般に「フランチャイズ・ガイドライン」と略されています。

 新しいガイドラインにおいては、1)フランチャイズ・システムについての一般的な考え方、2)本部の加盟店募集の際の注意事項、3)フランチャイズ契約締結後の本部と加盟者との取引の際の独占禁止法上の問題点がそれぞれ示されています。

 以下では、このガイドラインに記載されている内容の概要をご紹介いたします。

3. フランチャイズ・システムについての一般的な考え方
(1)フランチャイズ・システムとは、一般に、本部が加盟者に対して、特定の商標、商号等を使用する権利を与えるとともに、加盟者の物品販売、サービス提供その他の事業・経営について、統一的な方法で統制、指導、援助を行い、これらの対価として加盟者が本部にロイヤルティを支払う事業形態であって、フランチャイズ・システムにおける取引関係の基本となる本部と加盟者との間のフランチャイズ契約に下記の特徴を備える事業形態を言います。(フランチャイズ・ガイドライン1(1))
1) 加盟店が本部の商標、商号等を使用し営業することの許諾に関するもの
2) 営業に対する第三者の統一的イメージを確保し、加盟者の営業を維持するための加盟者の統制、指導等に関するもの
3) 上記に関連した対価の支払に関するもの
4) フランチャイズ契約の終了に関するもの

(2)フランチャイズ・システムにおいて、加盟者は法律的には、本部から独立した事業者ですので、フランチャイズ契約を締結する本部と加盟者との取引関係については独占禁止法が適用されます。(フランチャイズ・ガイドライン1(2))

(3)フランチャイズ契約の下では、加盟者が本部の確立した指針に従い、統一的な活動を行うことによって、通常企業規模の小さい加盟者の事業能力を強化・向上させ、ひいては市場における競争を活発にする効果があると考えられています。
   フランチャイズ契約においては、加盟希望者の加盟に当たっての判断が適正に行われることが重要であり、加盟者募集に際して、本部は加盟希望者に対して、十分な情報を開示することが望ましく、また、フランチャイズ契約締結後の本部と加盟者との取引においては、加盟者に一方的に不利益を与えたり、加盟者のみを不当に拘束するものであってはなりません。(フランチャイズ・ガイドライン1(3))

4. 本部の加盟者募集の際の注意事項
(1)本部は加盟希望者の適正な判断に資するため、十分な情報を開示することが望ましく、また加盟希望者側でも当該フランチャイズ・システムの事業内容について自主的に十分検討する必要があります。(フランチャイズ・ガイドライン2(1))

(2)独占禁止法違反行為の未然防止の観点から、加盟希望者の適正な判断に資するよう本部による加盟者の募集に当たり、次のような事項について開示が的確に実施されることが望ましいといえます。(フランチャイズ・ガイドライン2(2))
1) 加盟後の商品等の供給条件に関する事項(仕入先の推奨制度等)
2) 加盟者に対する事業活動上の指導の内容、方法、回数、費用負担に関する事項
3) 加盟に際して徴収する金銭の性質、金額、その返還の有無及び返還の条件
4) 加盟後、本部の商標、商号等の使用、経営指導等の対価として加盟者が本部に定期的に支払う金銭(以下、「ロイヤリティ」といいます)の額、算定方法、徴収の時期、徴収の方法
5) 本部と加盟者の間の決済方法の仕組み・条件、本部による加盟者への融資の利率等に関する事項
6) 事業活動上の損失に対する補償の有無及びその内容並びに経営不振となった場合の本部による経営支援の有無及びその内容
7) 契約の期間並びに契約の更新、解除及び中途解約の条件・手続に関する事項
8) 加盟後、加盟者の店舗の周辺の地域に、同一又はそれに類似した事業を営む店舗を本部が自ら営業すること又は他の加盟者に営業させることができるか否かに関する契約上の条項の有無及びその内容並びにこのような営業が実施される計画の有無及びその内容

(3)加盟募集の際に、予想売上げ又は予想収益の額を提示する場合には、類似した環境にある既存店舗の実績等根拠ある事実、合理的な算定方法等に基づくことが必要であり、また、本部は、加盟希望者に対して、これらの根拠となる事実、算定方法等を示す必要があります。
   加盟希望者側においても、フランチャイズ・システムに加盟するには、
1) 相当額の投資が必要となること
2) 今後、当該事業を継続して行うことを前提に加盟交渉が行われていること
3) 加盟後の事業活動は、一般的な経済動向、市場環境等に大きく依存するが、これらのことは、事業活動を行おうとする者によって相当程度考慮されるべきものであること
を留意する必要があります。(フランチャイズ・ガイドライン2(2))

(4)本部が、加盟者の募集に当たり、上記(2)に記載したような重要な事項について、十分な開示を行わず、又は虚偽若しくは誇大な開示を行い、これらにより、実際のフランチャイズ・システムの内容よりも著しく優良又は有利であると誤認させ、競争者の顧客を自己と取引するように不当に勧誘する場合には、不公正な取引方法の一般指定の第8項が規定するぎまん的顧客誘引に該当する可能性があります。(フランチャイズ・ガイドライン2(3))

5. フランチャイズ契約締結後の本部と加盟者との取引の際の独占禁止法上の問題点
(1)フランチャイズ契約においては、統一したブランドイメージを保持すること等を目的に、本部が加盟店に対し、商品の仕入れや商品の販売、店舗の営業方法等について各種の制限を課すことが多く見られます。この点について、フランチャイズ・システムによる営業を的確に実施する限度の制限であれば、独占禁止法上問題となりませんが、限度を越え、加盟者に対して不当に不利益を与える場合には、一般指定の第14項が規定する優越的地位の濫用、第10項が規定する抱き合わせ販売等、第13項が規定する拘束条件付取引、第12項が規定する再販売価格の拘束に該当する可能性があります。(フランチャイズ・ガイドライン3)

(2)優越的地位の濫用について
   例えば、次のような行為が優越的地位の濫用に該当する可能性があります。(フランチャイズ・ガイドライン3(1))
ア 取引先の制限
本部が加盟者に対して、商品、原材料等の注文先や加盟者の店舗の清掃、内外装工事等の依頼先について、正当な理由がないのに、本部又は本部の指定する事業者とのみ取引させることにより、良質廉価で商品又は役務を提供する他の事業と取引させないようにすること。
イ 仕入数量の強制
本部が加盟者に対して、加盟者の販売する商品又は使用する原材料について、返品が認められないにもかかわらず、実際の販売に必要な範囲を超えて、本部が仕入数量を指示し、当該数量を仕入れることを余儀なくさせること。
ウ 見切り販売の制限
弁当などの消費期限がある商品の廃棄コストを加盟店に負担させたうえでの売上総利益がロイヤルティ算定の基準となる場合において、本部が加盟者に対して、正当な理由がないのに、品質が急速に低下する商品等の見切り販売を制限し、売れ残りとして廃棄することを余儀なくさせること。
エ フランチャイズ契約締結後の契約内容の変更
当初のフランチャイズ契約に規定されていない新規事業の導入によって、加盟者が得られる利益の範囲を超える費用を負担することになるにもかかわらず、本部が、新規事業を導入しなければ不利益な取扱いをすること等を示唆し、加盟者に対して新規事業の導入を余儀なくさせること。
オ 契約終了後の競業禁止
本部が加盟者に対して、特定地域で成立している本部の商権の維持、本部が加盟者に対して供与したノウハウの保護等に必要な範囲を超えるような地域、期間又は内容の競業避止義務を課すこと。
カ この他に、フランチャイズ契約全体としてみて、不当な制限を課している場合。

(3)抱き合わせ販売等・拘束条件付取引について
 フランチャイズ契約に基づく営業のノウハウの供与に併せて、本部が、加盟者に対し、自己や自己の指定する事業者から商品、原材料等の供給を受けさせるようにすることは、一般指定の第10項が規定する抱き合わせ販売等、第13項の規定する拘束条件付取引に該当する可能性があります。(フランチャイズ・ガイドライン3(2))

(4)販売価格の制限
 本部が加盟店に商品を供給している場合、加盟者の販売価格(再販売価格)を拘束することは原則として一般指定の第12項が規定する再販売価格の拘束に該当します。
 また、本部が加盟者に商品を直接供給しない場合であっても、加盟者が供給する商品又は役務の価格を不当に拘束する場合は、第13項の拘束条件付取引に該当する可能性があります。(フランチャイズ・ガイドライン3(3))

 このFCと独占禁止法についても遠慮なく当事務所にご相談下さい

執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ