御器谷法律事務所

金融商品取引法

1.金融商品取引法とは
 金融商品取引法とは、従来施行されていた証券取引法を、投資家保護、市場機能確保等の観点から、抜本的に改正したものです。
 これまでは、株式などの有価証券は証券取引法、金融先物取引は金融先物取引法によって規制される等、対象となる金融商品によってバラバラの法律が適用さ れていました。このような縦割りの法律規制では、同じようにリスクの高い商品であるにも拘わらず投資家の保護に差が出てしまう、法律の隙間を縫って作られ た新しい金融商品に対応できない等の問題が生じてきてしまいます。
 そこで、今回、金融商品一般を広く対象に含めて投資家の保護を図るとともに、企業の開示制度や市場ルールも改めて、投資家が安心して市場を活用できるように法律を改正することとしました。
 本法は、平成18年7月から3段階に分けて施行されており、平成19年9月には完全に施行されます。
 
2. 金融商品取引法の内容
 金融商品取引法の内容について、以下、従来の証券取引法との違いを中心に、大きく4つに分けて説明していきます。
(1) 対象商品の横断化
 1で述べましたように、今までの縦割りの法律規制では、投資家保護を充分に図ることが出来ませんでした。そこで、金融商品取引法では、従来からの国債や株券等以外に、信託受益権や集団投資スキーム持分といった新しい金融商品についても「みなし有価証券」として保護の対象とし(同法第2条2項各号)、これまで法の抜け穴となっていたような商品についても、幅広く投資家保護が図れるようにしました。
(2) 業者規制の横断化、柔軟化
 対象金融商品と同様に、それを扱う業者も、各業法で縦割りに規制されており、参入規制が必要以上に複雑化してしまったり、法の狭間にいる業者を適切に監督できない等の弊害が生じていました。
 そこで、今回、金融商品取引法は、対象となる業を「金融商品取引業」として横断的に定義するとともに、参入規制も登録制度に統一することとしています(同法第2条8項、第2条9項、第29条)。
 このような横断的な制度を設ける一方、今まで一律に適用していた行為規制を柔軟化して、投資家を特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)に分けて、差を設けていることも、今回の改正の大きな特徴です。
 特定投資家とは、銀行や証券会社等のことを指しますが(同法第2条31項)、 知識や経験の豊富な彼らを全くの私人と同じに保護する必要はなく、それよりも規制をゆるやかにして取引コストを削減できるようにして欲しいとの要望が強かったことから、金融商品取引法は、特定投資家との取引の場合には、契約締結前の書面交付の義務やクーリングオフ制度等を排除できる旨定めています(同法第2条31項、第34条〜34条の5、第45条)。
(3) 開示制度の充実
 近年は、投資行為を行う人が増え、市場の信頼性、透明性がより一層求められるようになってきました。それを受けて、金融商品取引法も「資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図」ることを目的に加え(同法第1条)、企業の情報が適切に投資家の元に届けられるよう規制しています。
 まず、適正な情報開示のためには、企業の「内部統制」がきちんと行われていることが前提となります。そこで、同法は、上場会社等に、財務報告に係る内部統制の有効性を評価する報告書を提出するよう義務付け(同法第24条の4の4)、この「内部統制報告書」について、公認会計士又は監査法人による監査を受けることを必要としています(同法第193条の2第2項)。
 また、昨今は企業を取り巻く経営環境の変化が激しく、これまでのように半期に1回の業績開示では、投資家に対する情報提供としては、充分ではなくなってきました。そこで、今回の改正では、上場会社等に四半期に1度財務情報を開示するよう義務づけています(同法第24条の4の7)。
 これらの制度は、平成20年4月1日以降に開始する事業年度から適用されることとなります(同法附則第15条、第16条)。
 また、不公正な取引を防止するために、インサイダー取引(同法第166条、第167条)についての罰則が強化されることとなりました。これまで、個人の場合には「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科」、法人の場合には「3億円以下の罰金」でしたが、改正後は、それぞれ「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその併科」「5億円以下の罰金」へと引き上げられました(同法第197条の2、第207条1項2号)。
 インサイダー取引について課徴金が課されることは、従来どおりです。
(4) 公開買付制度等の見直し
 資本市場を充分に発揮させるためには、投資者間の公平を図り、大量の株式変動等の情報が適切に開示される必要があります。
 金融証券取引法は、市場内外の取引を組み合わせた買付けについても、所有割合が3分の1を超える場合には、公開買付によらなければならないとし(同法第27条の2第1項4号)、買付けの対象会社による意見表明報告書を提出することも義務づけております(同法第27条の10第1項)。
 さらに、大量保有報告制度が改正され、現在の「原則3ヶ月ごと翌月15日以内の報告」から、「原則2週間ごと5営業日以内の報告」へと期限が短縮されることとなりました(同法第27条の26第1項ないし第3項)。

3. 金融商品取引法の全体の構成

第1章 総則
       第2条 定義規定
第2章 企業内容等の開示
       第24条の4の4 内部統制報告制度
       第24条の4の7 四半期報告書の提出
  第2章の2 公開買付けに関する開示
       第27条の2 株券等の公開買付け
  第2章の3 株券等の大量保有の状況に関する開示
       第27条の26 大量保有報告制度
  第2章の4 開示用電子情報処理組織による手続の特例等
第3章 金融商品取引業者等
       第28条 金融商品取引業の定義規定
       第29条 登録制度
       第34条 特定投資家
       第45条 特定投資家に対する除外規定
  第3章の2 金融商品仲介業者
第4章 金融商品取引業協会
  第4章の2 投資者保護基金
第5章 金融商品取引所
       第84条 自主規制機能
  第5章の2 外国金融商品取引所
  第5章の3 金融商品取引清算機関等
  第5章の4 証券金融会社
第6章 有価証券の取引等に関する規制
       第159条 相場操縦行為等の禁止
       第166条 インサイダー取引の禁止
  第6章の2 課徴金
       第175条 インサイダー取引の課徴金
第7章 雑則
第8章 罰則
第9章 犯則事件の調査等

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