「独禁法と私」 - その6、初めてのカルテルの弁護
- 突然の電話
知り合いの部品メーカーの担当者から、今公正取引委員会の職員が突然会社に立ち入り検査に入り、自分の机の引き出しから私物を勝手に見られている、との電話が入りました。
私は、電話口で早速クレームを言い、翌日にはそのクレーム内容を内容証明郵便にて公取委に発送しました。
- カルテルの内容
知り合いの部品メーカーは、大手機械メーカーに部品を納入する中小企業で、全国に10数社の同様の部品を作る中小企業で工業会を結成し、価格や生産量を調整しているとの容疑のカルテルでした。
各部品メーカーの担当者が頻繁に公取委に呼び出され、事情聴取が繰り返され、供述調書が作成され、担当者は慣れないこともあり、疲労困憊の状況でした。
弁護人の立会いも許されず、調書のコピーもできず、これでは公取委のいわば優越的地位の濫用ではないかと詰め寄ったこともありましたが、大勢は変わらない状況でした。
- 弁護の方針
私自身、初めてのカルテルの弁護でもあり、又、部品メーカーが全国に10数社あったため、当時独禁法の弁護士として有名なT弁護士のご指導を仰ぎ、共同弁護人となって弁護して頂きました。
弁護の方針としては次の三点にしぼって弁護いたしました。
- カルテルの合意、特に「意思の連絡」を争う。
- 見積もり合わせ等がたとえあったとしても、それは中小企業である部品メーカーが、原材料の価格上昇に対応した自己防衛的なものであったこと。
- 課徴金については、公取委の見解を鵜呑みにせず、法律に従って当方から額を提出すること。
- 弁護の結果
上記ⅰ.のカルテルの合意については、立入り検査の段階ですでに証拠は入手済であったようで、担当者の供述はいわばこれを証拠に基づき固めることであった様です。
上記ⅱ.については、カルテルの成否の問題というよりも、中小企業の実態を知ってもらいたいとの一心で主張しました。
上記ⅲ.については、部品のうちでも特注品の取扱いが問題となり、公取委の考えていた課徴金よりも相当の減額に成功しました。
(弁護士の守秘義務より、設定等は変更しています)
執務方針| 弁護士紹介| 取扱事件 | 顧問契約 |
弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ
|