御器谷法律事務所

事例研究−JALとJASの事業統合


 日本航空株式会社(JAL)と株式会社日本エアシステム(JAS)の持株会社の設立による事業統合の計画については、公正取引委員会へ事前相談があり、公取委は、平成14年4月、当事会社からの対応策や国土交通省の競争促進策を考慮し、独占禁止法(第10条)に違反することとなるおそれはないものと回答しました。
 この公取委の回答は、公取委のホーム・ページに公表されましたので、この公表内容に基づき、企業結合の事前相談と問題解消措置の事例研究の一環として、その概要を次のとおりまとめてみました。

1. 本件統合の概要
 JALとJASが、グローバルな厳しい競争に耐えうるよう親会社となる持株会社を設立し事業統合を行う。

2. 問題点の指摘
(1) 大手航空会社が3社から2社に減少し、同調的な運賃設定が更に容易となる
(2) 特定割引運賃の割合、割引率が低くなる
(3) 新規参入等が困難
(4) 一般消費者に不利益

3. 当事会社から提出された対応策等
(1) 当事会社の対応策
ア.新規参入促進のための措置
(ア) 発着枠の返上
(イ) 新規航空会社に対する空港施設面での対応
(ウ) 航空機整備業務等各種業務受託による新規航空会社への協力
イ.運賃面での措置等
(ア) 1) 普通運賃の一律10%引き下げ、3年間値上げしない
2) 特定便割引運賃、事前購入割引運賃の全便設定
(イ) 路線網の拡充による競争促進と利便性の向上
(2) 国土交通省による競争促進等の強化
ア. 新たに「競争促進枠」を創設
イ. 新規航空会社が、有効な牽制力を有することが可能となるよう競争促進枠を拡充
ウ. 空港施設面での新規航空会社への協力
エ. 航空機整備業務等各種業務の新規航空会社に対する支援
(3) 新規航空会社の状況
ア. スカイマークエアラインズ、北海道国際航空という新規航空会社2社の存在
イ. 本格的な事業展開を計画している新規航空会社の存在
ウ. 今後新規参入を予定している航空会社2社の存在
(スカイネットアジア航空、レキオス航空)

4. 当委員会の判断
(1) 新規航空会社の事業拡大等により有効な競争が生じる蓋然性の高まり
ア. 発着枠の返上・再配分
(ア) 平成17年2月までの評価
当事会社の対応策による羽田発着枠9便の返上及び国土交通省による競争促進枠の創設により、当該増便計画に見合う9便の発着枠が確保されることとなり、当該新規航空会社の事業拡大が可能となる。
(イ) 平成17年2月の発着枠の抜本的見直し以降の評価
新規航空会社が、国内航空運送分野において大手航空会社に対して有効な競争を行うことが可能な競争事業者となる蓋然性は高いものと考えられる。
イ. 新規航空会社に対する空港施設面での対応に対する評価
新規航空会社に対する空港施設面での支援を強化することにより、新規航空会社の事業拡大等を可能・容易にするものであると考えられる。
ウ. 航空機整備業務等各種業務受託による新規航空会社への協力に対する評価
新規航空会社の事業拡大等を可能・容易にするものと考えられる。
(2) 運賃面での措置等
普通運賃の引下げ及び特定便割引運賃・事前購入割引運賃の設定拡充や、他の大手航空会社の単独路線及び便数優位路線への参入・増便といった当事会社の対応については、本件統合による合理化効果を一般消費者の利益となるよう用いるものとして、一定の評価を行うことができるものと考えられる。
3) 結論
以上から、本件統合計画の実施により、国内航空運送分野における競争を実質的に制限することとはならないものと考えられる。

 この事例研究−JALとJASにつきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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