メンタル・ヘルスケア
第1. 職場における精神障害、自殺と企業の対応
社員が職場においてストレスを感じることは従前よりあったものと考えられます。
しかし、近年企業におけるリストラや終身雇用の崩壊、不況、非正規雇用の見直し、成果主義の採用等、その勤務状況、労働環境は大きく変化し、社内においてもうつ状態やうつ病、さらには自殺者も出る状況となっています。
このような労働者の精神的状況をふまえ、厚生労働省や法令において社員の精神的での対応に取組む、メンタル・ヘルスケアの考えがクローズ・アップされています。
平成11年には、厚生労働省によって、「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」と「精神障害による自殺の取扱いについて」を公表し、精神障害等による労災認定基準を緩和したとされています。
平成17年には、厚生労働省によって、「セクシュアルハラスメントによる精神障害等の業務上外の認定について」を公表し、セクハラの労災認定についての通知を発しています。
そして、平成18年には、自殺対策基本法が成立、施行され、同法の第5条には、「事業主は、
国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、その
雇用する労働者の心の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」とされています。
さらに、労働安全衛生法第69条は、「
事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。」と規定され、これを受けて同法第70条の2は、「厚生労働大臣は、第69条第1項の事業者が講ずべき健康の保持増進のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。」とされています。そして、この規定に基づき、厚生労働省は、平成18年3月、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルスケアに関する指針)を公表しています。
第2. 「メンタルヘルスケアに関する指針」の概要
- 趣旨
メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めるものである。
- メンタルヘルスケアの基本的考え方
心の健康づくり計画の実施に当たっては、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の4つのメンタルヘルスケアが継続的かつ計画的に行われるよう、教育研修・情報提供を行うとともに、4つのケアを効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰のための支援等が円滑に行われるようにする必要がある。
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心の健康問題に適切に対応するためには、産業医等の助言を求めることも必要である。労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用することが効果的である。
- 心の健康づくり計画
心の健康づくり計画で定めるべき事項は次に掲げるとおりである。
1) 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること。
2) 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること。
3) 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること。
4) メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること。
5) 労働者の健康情報の保護に関すること。
6) 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること。
7) その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること。
- 4つのメンタルヘルスケアの推進
メンタルヘルスケアは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減するあるいはこれに対処する「セルフケア」、労働者と日常的に接する管理監督者が、心の健康に関して職場環境等の改善や労働者に対する相談対応を行う「ラインによるケア」、事業場内の産業医等事業場内産業保健スタッフ等が、事業場の心の健康づくり対策の提言を行うとともに、その推進を担い、また、労働者及び管理監督者を支援する「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び事業場外の機関及び専門家を活用し、その支援を受ける「事業場外資源によるケア」の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要である。
- メンタルヘルスケアの具体的進め方
(1) メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
(2) 職場環境等の把握と改善
(3) メンタルヘルス不調への気づきと対応
(4) 職場復帰における支援
- メンタルヘルスに関する個人情報の保護への配慮
(1) 労働者の同意
(2) 事業場内産業保健スタッフによる情報の加工
(3) 健康情報の取扱いに関する事業場内における取り決め
- 小規模事業場におけるメンタルヘルスケアの取組の留意事項
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