御器谷法律事務所

独占的状態への法規制


1. 独占的状態への法規制
 独占禁止法は、原則的には私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法という行為を規制することが中心と考えられています。
 しかし、市場の構造そのものが独占ないし寡占状態となり、しかも新規参入が困難であったり価格の下方硬直性が見られる等顕著な弊害が見られる場合には、そのような市場構造に着目してこれを規制しようとしたのが、この「独占的状態」に対する独占禁止法による規制です。
 但し、この独禁法上の要件は非常に厳格であり、平成18年現在実際に適用された事例はありません。

2. 独占的状態の要件
「独占的状態」の要件としては、次の諸点が必要です(法第2条(7))。
(1) 国内総供給価額要件
 同種の商品、役務の価額が、年間1,000億円を超える
(2) 市場占拠率要件
 上位1社で50%超、又は上位2社で75%超
(3) 新規参入が著しく困難な事情がある
(4) 弊害要件
 相当の期間の価格の下方硬直性があり、且つ、
 著しく高い利益率を得ているか、著しく過大な販売費、一般管理費を支出

3. 独占的状態に対する効果(公取委の措置)
(1) 独占的状態があるときは、公正取引委員会は、事業の譲渡、会社分割、株式の処分、役員兼任の禁止等競争を回復させるために必要な措置を命ずることができます(法第8条の4)。但し、規模の経済性を害する場合や、経理が不健全となる場合、国際競争力の維持が困難となる場合、他の競争回復措置が講ぜられる場合は、この限りではないとされています。
 なお、公取委がこの措置を命ずる審決をするには、委員3人以上の意見が一致しなければならない、とされています(法第69条(3))。
(2) そして、公取委がこの競争回復措置を命ずるにあたっては、事業者等の事業活動の円滑な遂行及び被雇用者の生活の安定に配慮しなければならない、とされています。

4. 公取委の調査
 公正取引委員会は、独占的状態に関する調査を行っており、その結果は「公正取引委員会年次報告」(独占禁止白書)等により公表されています。平成16年度公取委年次報告によれば、上記要件のうち国内総供給価額要件及び市場占拠率要件に該当する(可能性のある)次の事業分野を公表しています。但し、上記要件の(3)、(4)は認定されていません。
(1) 同種の商品
 ビール、ウイスキー、紙巻たばこ、一般用カラー写真フィルム、飲料用プラスチックボトル、内装・外装タイル、ボイラ、タービン、飲料用自動販売機、白熱灯器具(自動車用)、鉛蓄電池、デジタル伝送装置、ルータ、インクジェットプリンタ、中央処理装置、二輪自動車、ショックアブソーバ、輸送機械用エアコンディショナ
(2) 同種の役務
 固定電気通信、移動電気通信、パソコン用基本ソフト(OS)、鉄道貨物運送、国内定期航空旅客運送、ダストコントロール、医療事務代行

 この独占的状態につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
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