公正取引委員会の立入検査への対処
1. 公取委の立入検査とは、
公正取引委員会が事件について必要な調査をするために、事件関係人の営業所その他の必要な場所に立ち入り、業務及び財産の状況、帳簿書類その他の物件を検査することを意味します(独禁法§47・(1)・4号)。
新聞等でカルテル等の疑いのある事案につき公取委が予告なしに一斉に何十ヶ所もの事業所に立入り検査を行ったこと等がよく報道されています。
2. 立入検査の性質
公取委の立入検査は、刑事事件の捜索・差押手続によく似ていますが、刑事事件の捜査を目的とする手続ではありません(法§47・(4))。つまり、裁判所の令状は不要です。
あくまでも行政調査の権限のうちの強制調査権と呼ばれています。
立入検査の対象は、事件関係者の営業所、事業所のみならず、その会社の役員や従業員の自宅も含まれます。
公取委の審査官は、立入検査に際しては、身分証明書(審査官証)を携帯し、これを関係者に提示しなければなりません。
審査官は、帳簿書類その他の物件の提出命令を発することができ、且つこれらの物を留置することができます。この場合には、留置調書を作成し、又、差出人等は留置調書の目録の写しの交付を求めることができます。
なお、調査官が立ち入り検査をするときは、事件名、被疑事実の要旨、関係法条を記載した文書を関係者に交付します。(「公正取引委員会の審査に関する規則」第20条)
3. 立入検査への対処
(1) 拒否はできません
立入検査を拒み、妨げ、忌避した者は、検査妨害罪として、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります(法§94)。
(2) 検査を受ける側もその権利を守るためにやるべきことはあります。
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先ず顧問弁護士や法務部等に直ちに連絡をとり、立ち会いを要望しましょう。 |
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現場では、審査官の身分証明書を確認すべきです。 |
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審査官から必ず被疑事実の内容を確認し、且つ適用条文を明らかにしてもらって下さい。
被疑事実ないし被審査事実と関連性のある物件に留置の対象を限定すべく交渉すべきです。
特にカルテル等の立証のため私物である手帳等が留置される例を多く見受けますが、無限定な留置には異議を申立てるのも一方法です。 |
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審査官の処分に不服があるときは、1週間以内に、その理由を記載した文書をもって、委員会に異議の申立てをすることができます(規則§19)。 |
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極めて大量の書類が留置されてしまい、業務上支障を来たすおそれがある場合には、公取委の了承を得られればコピーをとったり、又は仮還付の請求をすることができることがあります。 |
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4. その後の対処
(1) 対マスコミ
公取委の立入検査が報道された場合には、会社としての立場から広報部等を通してのコメントを準備すべき場合があります。会社としての方針が未確定の場合や、事実関係が未確認の場合には、そのコメントは十分慎重なものでなければなりません。
(2) 弁護方針の打合せ
公取委は留置した書類を検討・分析し、その後関係者から事情聴取を行ない供述調書をとり、勧告か、警告あるいは注意等の処分を決することとなります。
会社としては、直ちに独禁法に強い弁護士と打合せをし、事実関係を確認して、今後の方針につき検討し、会社としての方針を決めてゆくこととなります。
公取委の立入検査はなんの前ぶれもなく突然にやってきます。そんなときはうろたえることなく
事務所宛ご連絡、ご相談下さい。