御器谷法律事務所

社外監査役

1.社外監査役とは
 少々長いですが、会社法の条文を引用しますと、社外監査役とは、「株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。」と規定されています(会社法2条16号)。
 つまり、これを簡潔にまとめますと、取締役・執行役・支配人・使用人などの形を問わず、昔会社またはその子会社の業務執行に携わったことのある人、そして昔会社またはその子会社の会計参与になったことのある人は、社外監査役になることはできません。それ以外の人が、株主総会で監査役として選任されれば、その人は社外監査役であるということになります。
 社外監査役も監査役であることに変わりはないので、他の監査役と同じように株主総会決議によって選任され、原則として同じ権限を行使して責任を負うことになります。

2. 社外監査役の趣旨
 監査役は、株主総会の決議によって選任され、株式会社において、取締役の業務執行を監査する機能を担っています。監査役は、会社において独立した地位を保障され(会社法336条等)、原則として業務の適法性に関して、与えられた調査権(会社法381条等)を行使するなどして、株式会社の監査にあたります。
 しかし、取締役の場合と同様、監査役も社内から選ばれることが多く、代表取締役・取締役との間で馴れ合いが生じて、その監査機能を十分に発揮できないおそれがあります。特に、監査役は、会社の業務執行の適法性の監査にあたるため、監査機能を十分に発揮できなくなったときのコーポレート・ガバナンスに与える影響は大きいといえます。
 そこで、監査役に社外の人を起用して、監査役の監督機能を強化しようとするものです。

3. 社外監査役を置かなければならない場合〜監査役会設置会社
 本来、社外の人を会社の監査役に選任することは、株主総会の決議を経れば、問題はありません。
 しかし、会社法上、社外監査役を置かなければならない場合というのが定められています。
 まず、公開会社である大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社をいう(会社法2条6号))は、監査役会を置くか、委員会等設置会社としなければなりません(会社法328条1項)。
 ここで、監査役会を置くことを選択した場合には、監査役3人以上で、そのうち半数以上は社外監査役でなければならないとされています(会社法335条3項)。各監査役は独任制となっており、監査役会の決議によって個々の監査役の権限行使を妨げることはできないと解されています。
 なお、委員会等設置会社とすることを選択した場合には、会社の業務執行に対する監督・監査は、取締役会及びその中に設置された監査委員会等の各委員会があたることになっており、そのため監査役は設置されません(327条4項)。
 つまり、監査役会設置会社においては、監査役会を構成する監査役のうち半数以上が社外監査役である必要があるということになります。

4. 社外監査役の損害賠償責任
 社外監査役も、会社の監査役として、他の取締役と同様に任務懈怠等に関して損害賠償責任を負うことになります。
 しかし、社外監査役に他の監査役と同様の責任を負わせることになれば、社外監査役の成り手を確保できない可能性があります。
 そこで、まず、会社は、株主総会決議または定款による事前の定めに基づく取締役会決議により、監査役・社外監査役の損害賠償責任について一定の限度額を設定することができます。参考までに、その場合の最低責任限度額は、監査役・社外監査役とも、年報酬額2年分とされています。
 しかし、これによっても、株主総会決議または定款の事前に定めに基づく取締役会決議が必要となりますので、社外監査役としては、実際に責任追及されたときにその決議がなされるのか、不安になるところでしょう。
 そこで、社外監査役は、会社との間で、事前に、その損害賠償責任について上記のような一定の範囲に限定する趣旨の契約(いわゆる責任限定契約)を締結することができるという定めを定款に置くことができます(会社法427条1項)。この定款の定めに基づいて、社外監査役は、監査役就任時に会社と責任限定契約を締結しておくことにより、その損害賠償責任を一定の範囲に限定することができるのです。

5. 社外監査役を設置した場合の商業登記
 上記のような(3.監査役会設置会社、4.社外監査役の責任限定契約についての定款の定め)、社外監査役の存在が法律上の要件となっている場合にのみ、社外監査役である旨を登記事項とすることとされています(911条3項18号、26号)。

6. コーポレート・ガバナンスと社外監査役の役割
 コンプライアンス(法令遵守)の要請を受けて、適正な内部統制管理のための体制を構築することが、企業経営者に求められるようになっていきています(会社法362条4項6号、会社法施行規則100条)。
 社外監査役を会社に置くということは、会社の業務執行に対する監督機能を強化して、適正なガバナンス体制を敷くという意味を持ちます。法律上社外監査役を置く必要がある場合はいうまでもなく、そうでない場合でも、社外監査役を設置するなどして、適正な内部統制のための体制を確保することは重要だといえます。

7. 社外から監査役を迎え入れることの意味
 これまでの日本の会社経営においては、監査役も会社の従業員等の関係者から起用されて就任することが多かったといわれています。
 しかし、そのような状況では、企業経営者に対して必ずしも十分に意見をいうことができないということも考えられます。それが、企業の不祥事につながっていた可能性は否定できません。
 そこで、やはり社外取締役と同様、業界の論理に必ずしも精通していない人物が会社に迎え入れられ、独立した立場から会社の業務執行に関して監査にあたることは、適正な企業の内部統制管理のために非常に重要であるといえます。
 ここにおいて、法律専門家としての弁護士や、会計・税務の専門家としての公認会計士・税理士などが社外監査役として起用されることが検討されています。

 この社外監査役につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
企業法務の法律相談へ

執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ