御器谷法律事務所

社外取締役

1. 社外取締役とは、
 社外取締役とは、「株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の363条1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。」と規定されています(会社法2条15号)。
 つまり、これを簡潔にまとめますと、業務執行取締役(代表取締役、専務取締役・常務取締役など)・執行役・支配人・使用人などの形を問わず、会社またはその子会社の業務執行に今携わっているか、昔携わったことのある人は、社外取締役になることはできません。それ以外の人が、株主総会で取締役として選任されれば、その人は社外取締役であるということになります。
 社外取締役も取締役であることに変わりはないので、他の取締役と同じように株主総会決議によって選任され、原則として同じ権限を行使し責任を負うことになります。

2. 社外取締役の趣旨
 ここでは、会社法上の取締役会設置会社を前提とします。
 本来、取締役は、取締役会を通じて、代表取締役(代表執行役)の業務執行を監督する機能を担っています。しかし、取締役は社内から選ばれることが多く、代表取締役(代表執行役)との間や取締役相互間で馴れ合いが生じて、その監督機能を十分に発揮できないおそれがあります。
 そこで、取締役に社外の人を起用して、取締役会の監督機能を強化しようとするものです。

3. 社外取締役を置かなければならない場合
 本来、社外の人を会社の取締役に選任することは、株主総会の決議を経れば、問題はありません。
 しかし、会社法上、社外取締役を置かなければならない場合というのが定められています。
(1) 特別取締役による取締役会決議(会社法373条)
 まず、特別取締役による取締役会決議の制度とは、6人以上の取締役がいてそのうち1人以上の社外取締役が置かれている会社において(373条1項1号2号)、予め選定した3人以上の取締役で(これを特別取締役という)一定の重要事項につき意思決定をすることができるという制度です(373条1項2項)。
 これは、大規模な会社において、迅速な意思決定をすることができるようにとの趣旨に出たものといわれています。
 以上をまとめますと、特別取締役による取締役会決議の制度を設けるためには、1人以上の社外取締役が置かれている必要があるということになります。
(2) 委員会等設置会社(会社法400条以下)
 まず、委員会等設置会社とは、取締役会・会計監査人設置会社にのみ認められる制度です。取締役会は、会社の業務執行に対する監督機能を果たすことが中心となり、取締役会の中にさらに指名委員会(取締役等の選解任に関する議案の作成等を担う)・監査委員会(会社の監査等を担う)・報酬委員会(役員の報酬決定を担う)を設置します。他方、会社の業務執行機関として、執行役・代表執行役を置きます。
 ここで、取締役会の中に設置される各委員会は、その過半数が社外取締役で構成されることが必要となります(会社法400条3項)。
 これは、大規模な会社において、適正なガバナンス体制を敷くことを認めたものといわれています。
 これも、以上をまとめるとすれば、会社を委員会等設置会社とするためには、社外取締役がおかれている必要があるということを意味しています。

4. 社外取締役の損害賠償責任
 社外取締役も、会社の取締役として、他の取締役と同様に任務懈怠等に関して損害賠償責任を負うことになります。
 しかし、社外取締役に他の取締役と同様の責任を負わせることになれば、社外取締役の成り手を確保できない可能性があります。
 そこで、まず、会社は、株主総会決議または定款による事前の定めに基づく取締役会決議により、取締役の損害賠償責任について一定の限度額を設定する際に、社外取締役については一般の取締役と異なる最低責任限度額を設定することができます。参考までに、その場合の最低責任限度額は、代表取締役(代表執行役)は年報酬額6年分、一般の取締役(執行役)は年報酬額4年分、社外取締役は年報酬額2年分とされています。
 しかし、これによっても、株主総会決議または定款の事前の定めに基づく取締役会決議が必要となりますので、社外取締役としては、実際に責任追及されたときにその決議がなされるのか、不安になるところでしょう。
 そこで、社外取締役は、会社との間で、事前に、その損害賠償責任について上記のような一定の範囲に限定する趣旨の契約(いわゆる責任限定契約)を締結することができるという定めを定款に置くことができます(会社法427条1項)。この定款の定めに基づいて、社外取締役は、取締役就任時に会社と責任限定契約を締結しておくことにより、その損害賠償責任を一定の範囲に限定することができるのです。

5. 社外取締役を設置した場合の商業登記
 上記のような(3.(1) 特別取締役による取締役会決議、3.(2) 委員会等設置会社、4.社外取締役の責任限定契約についての定款の定め)、社外取締役の存在が法律上の要件となっている場合にのみ、社外取締役である旨を登記事項とすることとされています(911条3項21号、22号、25号)。

6. コーポレート・ガバナンスと社外取締役の役割
 コンプライアンス(法令遵守)の要請を受けて、適正な内部統制管理のための体制を構築することが、企業経営者に求められるようになっていきています(会社法362条4項6号、会社法施行規則100条)。
 社外取締役を会社に置くということは、会社の業務執行に対する監督機能を強化して、適正なガバナンス体制を敷くという意味を持ちます。法律上社外取締役を置く必要がある場合はいうまでもなく、そうでない場合でも、社外取締役を設置するなどして、適正な内部統制のための体制を確保することは非常に重要だといえます。

7. 社外取締役にふさわしい人物とは
 法律上、社外取締役になれる人が会社及びその子会社の業務執行に携わったことのない人に限定されている関係もあって、会社は社外取締役の成り手を探すことが困難な事態に直面しているといわれています。
 その背景としては、そもそも社外取締役を会社に迎え入れること自体に消極的な意見があることや、業界のことを知らない人に取締役になってもらっても意味がないという意見があるようです(そのため今はグループ会社から社外取締役を会社に迎え入れる例もあるようです)。
 しかし、業界の論理に必ずしも精通していない人が、独立した立場から意見をいうことができるという意味では、コンプライアンスの観点から、そのような人物を会社に迎え入れることに意味がないとはいえません。
 ここにおいて、法律専門家としての弁護士や、会計・税務の専門家としての公認会計士・税理士などが社外取締役として起用されることも検討されています。

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