御器谷法律事務所

並行輸入の妨害


1. 問題の所在等
 かなり以前から海外の有名ブランドが日本の市場で大変人気を博している事例を多く見受けます。海外ブランドの日本での販売については、この輸入品を日本で一手に販売する「輸入総代理店」がこれを取りしきり、ブランドの維持や流通の確保、在庫の管理、修理体制の維持を行ってきました。
 しかし、これらのブランド品の真正品が輸入総代理店以外の他のルートから輸入されたとき、この並行輸入品に対する輸入総代理店からの様々な取引妨害が問題となりました。
 つまり、並行輸入は、日本の市場におけるブランド内競争を促進し内外価格差を抑制する面があるとともに、他面輸入総代理店からみればブランド内商品の価格形成の安定を害すると受けとられがちな面があります。
 そこで、独占禁止法はこの問題を不公正な取引方法のうちでも不当な取引妨害(一般指定第15項)、拘束条件付取引(同第13項)等の問題としてとらえ、一定の場合にはこれを規制しています。
 なお、以下2〜4では公正取引委員会の「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(流通・取引慣行ガイドライン)にそって、その概要を説明しています。

2. 総代理店契約とは、
 事業者が、国内事業者であると外国事業者であるとを問わず、自己の取り扱う商品を提供するにあたり、ある事業者に国内市場全域を対象とする一手販売権を付与する場合、これを「総発売元」ないし「輸入総代理店」等と呼んでいます。

3. 並行輸入とは、
 総代理店契約が輸入品について行われている場合に、第三者がこの契約当事者間のルートとは別のルートで真正商品である契約対象商品を輸入することを「並行輸入」と呼んでいます。
 並行輸入は、価格競争を促進する効果を有しており、従って、価格を維持するためにこれを阻害する場合には独占禁止法上問題となります。

4. 独占禁止法上、並行輸入が問題となる具体的場合
(1) 海外の流通ルートからの真正品の入手を妨害
 特に、1)並行輸入業者が供給業者の海外における取引先に購入申込みをしたとき、その取引先に対して並行輸入業者への販売を中止させること、2)並行輸入品の製品番号等によりその入手経路を探知し、これを供給業者又は海外における取引先に通知する等して、その取引先に対し並行輸入業者への販売を中止させることは、それらが価格を維持するために行われると違法となります。
(2) 販売業者に対する並行輸入品の取扱いの制限
 総代理店が、並行輸入品を取り扱わないことを条件として販売業者と取引する等、それが商品の価格を維持するために行われると違法となります。
(3) 並行輸入品を取り扱う小売業者に対する商品の販売制限
 卸売業者に対し、並行輸入品を取扱う小売業者へは商品を販売しないようにさせ、商品の価格を維持するために行われると違法となります。
(4) 並行輸入品を偽物扱いにすることによる販売妨害
(5) 並行輸入品の買占め
(6) 並行輸入品の修理等の拒否
 総代理店等以外では並行輸入品の修理が著しく困難であり、又はこれら以外の者から修理に必要な補修部品を入手することが著しく困難な場合、自己の取扱商品でないことのみを理由に修理や補修部品の供給を拒否等し、商品の価格を維持するために行われると違法となります。
(7) 並行輸入品の広告宣伝活動の妨害

5. 審決、判決
(1) パーカー事件−大阪地判昭和45年2月27日
「原告のなす真正パーカー製品の輸入販売の行為は商標制度の趣旨目的に違背するものとは解せられず、被告の内国市場の独占的支配が脅かされるとの一事はこれをもって原告の輸入販売行為を禁止すべき商標法上の実質的理由とはなし難い。畢竟、原告は形式的には本件登録商標につきなんら使用の権限を有しないものであるが、同人のなす本件真正パーカー製品の輸入販売の行為は、商標保護の本質に照らし実質的には違法性を欠き、権利侵害を構成しないものというべきである。」
(2) ラジオメータートレーディング社事件−公取委平成5年9月28日勧告審決
「ラジオメータートレーディング株式会社は、自己と国内において競争関係にある並行輸入試薬を取り扱う輸入販売業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害しているものであって、これは、不公正な取引方法の第15項に該当し、独占禁止法第19条の規定に違反するものである。」
(3) ヘレンド事件−公取委平成8年3月22日勧告審決
「ヘレンド製品の日本における総代理店である星商事は、自己と国内において競争関係にある並行輸入品を取り扱う輸入販売業者とその取引の相手方である外国に所在するヘレンド社の総代理店等との取引を不当に妨害しているものであって、これは、不公正な取引方法の第15項に該当し、独占禁止法第19条の規定に違反するものである。」

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