御器谷法律事務所

FCと競業避止義務

1. 東京地方裁判所平成21年3月9日判決
 判決のポイント
(1) フランチャイズ契約の終了の後における競業避止義務が、一定の場合においては公序良俗違反として無効となることがある。
(2) フランチャイザーが全国展開すべき債務を負担しているとの主張が、認められなかった。

2. 事案の概要

3. 判決の要旨
(1) 競業避止義務について、
 フランチャイズ契約は、フランチャイザーがフランチャイジーに対し、一定の地域内で、フランチャイザーの商標、サービス・マーク及びトレード・ネームなど営業の象徴となる標識並びに経営ノウハウを用いて事業を行う権利を付与することを内容とする契約である。
 したがって、フランチャイズ契約において、フランチャイザーの保有する1)一定の地域内において築き上げられた商圏(顧客)、2)商標等に象徴される当該フランチャイズの統一的なイメージ、3)経営ノウハウは、いずれも保護に値する。
 本件競業避止規定は、契約終了後も二年間にわたり、旧フランチャイジーが、原告の事業と同種又は類似の事業を営むことを禁止するものであり、地域的な限定が付されていないことから、原告の経営ノウハウの保護を目的としているということができ、かつ、本件競業避止規定を担保するために本件引継ぎ規定が存在していることから、原告の商圏の保護をも目的としているということができる。
 したがって、フランチャイズ契約における競業避止規定については、1)競業避止規定による制限の範囲(禁止の対象となる期間、地域・場所、営業の種類)が制限目的との関係で合理的といえるか、2)競業避止規定の実効性を担保するための手段の有無・態様(違約金・損害賠償の予定、フランチャイザーの先買権など)、3)競業に至った背景(契約の終了の原因に対する帰責の有無)等を総合的に考慮し、競業避止により保護されるフランチャイザーの利益が、競業禁止によって被る旧フランチャイジーの不利益との対比において、社会通念上是認しがたい場合には、民法90条により無効と解すべきである。
 本件契約終了の当時、福岡A社が雇用していた技術者及び同社が派遣契約を締結していた顧客(派遣先)との契約の成立及び継続の要因は、福岡A社自体の信用ないしは同社の責任者であるCと技術者ないし顧客との人的関係にあるというべきである。
 したがって、福岡A社が労働者派遣事業を営んでいた九州地区で原告の商圏が成立していたとはいえない。
 以上のとおり、原告には、1)福岡A社が労働者派遣事業を営んでいた九州地区で原告の商圏が成立していたとはいえないこと、2)原告が福岡A社に提供した営業ノウハウは、遅くとも平成17年3月31日の時点では秘密性及び有用性を欠き、保護に値する程度がごく僅かであったこと、3)他方、本件競業避止規定により福岡A社には廃業以外の選択肢がなく、しかも、本件契約終了当時の原告の態度に照らし、その時点で、廃業(原告への営業の承継)に伴う対価を得られる見込みがなかったこと、4)契約終了に至った原因について、フランチャイジーの全国展開計画の頓挫、フランチャイジーにとって有益なソフト開発の放棄など、原告側の事情が多分に寄与していることからすると、本件競業避止規定の制限内容は、競業避止により保護されるフランチャイザーの利益が、競業禁止によって被る旧フランチャイジーの不利益との対比において、社会通念上是認しがたい程度に達しているというべきであり、公序良俗に違反して無効である。
(2) フランチャイザーの全国展開債務について、
 原告が第1回契約の締結に向けて、被告D社に対し、本件フランチャイズ事業の全国展開ないし株式店頭公開という目標ないし計画を説明した事実は推認できる。
 しかし、本件全証拠に照らしても、本件フランチャイズ事業の全国展開ないし原告の株式上場が、本件契約における原告の債務として合意されたことを認めるに足りない。


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