御器谷法律事務所

公 益 法 人

1.公益法人
(1) 法人の分類
 法人とは、自然人以外の権利義務の帰属主体をいい、目的や根拠法、法人の基礎が社団か財団か、といった様々な観点から分類がなされます。このうち法人の目的による分類として登場するのが、公益法人・営利法人・中間法人の概念です。

(2) 公益法人
 公益法人とは、学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としない法人を言います(旧民法34条参照)。
 公益法人には、一定目的のために結合した人の集団を基礎として作られる社団法人、一定目的のもとに結合した財産の集合体である財団法人のほか、宗教法人や学校法人、社会福祉法人が含まれます。例えば、日本赤十字社は公益社団法人、日本相撲協会は公益財団法人です。
 公益法人制度は、公益を目的とする事業の実施が公益の増進にとって重要であり、社会制度の改善に資するため、法人格(権利・義務の帰属主体となることができる資格)を与えるとともに、税制上の優遇措置等を与えることにしたものです。
 
(3) 営利法人
 これに対し営利法人とは、営利、すなわち収益を上げ構成員に分配することを目的とする法人を言います。例えば、会社は営利社団法人です。

(4) 中間法人
 公益法人と営利法人の中間に位置づけられるのが中間法人であり、社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団をいいます(中間法人法2条1号)。これは同法に基づき平成14年4月からスタートした制度で、町内会や同窓会、サークルなど、公益も営利も目的としない団体に法人格の付与を可能にした制度です。中間法人には、構成員が出資額の範囲内でのみ責任を負う有限責任中間法人(法2条2号)と、構成員の責任に限定がなく法人と連帯して責任を負う無限責任中間法人(法3号)があります。なお講学上は、中間法人法上の中間法人だけでなく、医療法人、協同組合なども、中間法人に含まれることもあります。
 中間法人制度は、直接には構成員の利益を目的とする団体であっても、その利益がやがて社会制度の改善に資するため、その社会的意義を認めて法人格の取得を可能にしたものです。

2. 公益法人の設立手続
 以下では社団法人のうち、民法で規律されるものの設立手続きを中心に述べます。財団法人の手続きもほぼ同じとなりますが、定款ではなく寄附行為が根本規則となる点、法人の基礎が社員ではなく寄附財産であるといった点から、相違が生じることもあります。
 また、宗教法人や学校法人、社会福祉法人のように根拠法が別個に存在する場合は、その法律の手続きが適用されます。
 
(1) 定款または寄附行為の作成
 法人の基本的事項を定めた規則として、社団法人は定款を、財団法人は寄附行為を作成します。
 定款記載事項は、目的、名称、事務所の所在地、資産に関する規定、理事の任免に関する規定、社員の資格の得喪に関する規定です(旧民法37条)。
 寄附行為の記載事項も、社員の資格の得喪に関する規定を除き、同じです(旧民法39条)。
 法人は、この定款または寄付行為で定められた範囲で、権利能力(権利・義務の主体となることができる資格)を有します(旧民法43条)。
 
(2) 主務官庁の設立許可
 主務官庁に設立許可申請をします。定款または寄附行為の他、設立許可申請書、設立趣意書、設立及び翌事業年度の事業計画書及び収支予算書などが必要です。但し、財団法人の場合は、社員名簿は不要です。
 主務官庁の審査は、資産状況や機関の適否等につきなされますが、許可を出すか否かは裁量に委ねられます。主務官庁の設立許可により、公益法人が成立します(旧民法34条)。
 このように、主務官庁に裁量があり、その許可が法人の設立の条件となる建前を許可主義と言います。これに対し、設立登記だけで設立できる会社のように一定の法規に従えば当然に法人格が付与される建前を準則主義と言います。
 
(3) 許可後の手続き(設立登記等)
 原則として、主たる事務所の所在地においては設立日から2週間、その他の事務所の所在地においては3週間以内に設立登記が必要です(旧民法45条1項、47条)。但し、会社と異なり、公益法人の登記は第三者対抗要件であって設立要件ではありません(旧民法45条2項)。登記事項は、目的、名称、事務所の所在場所、設立許可年月日、存立時期を定めた時はその時期、資産の総額、出資方法を定めた時はその方法、理事の氏名及び住所です(旧民法46条1項)。
 その他、財産移転の報告や収益事業開始日後2ヶ月以内の収益事業開始届出書の提出など、各種の手続きが必要になります。

3. 公益法人の運営、管理
 公益法人の運営及び管理は、次の諸機関を中心として、法令及び定款(または寄附行為)に従ってなされることになります。

(1) 社員総会、理事会
 公益社団法人の社員で構成され、社団法人の最高意思決定機関としての役割を果たします。社員総会には、年1回以上開催される通常総会と、必要がある時に理事が召集する臨時総会があります(旧民法60条、61条)。
 社団法人の事務は、定款で理事その他の役員に委任したものを除き、すべて総会の決議によって行われます(旧民法63条)。決算・予算の承認や、理事の選出などが代表例です。
 財団法人は社員ではなく寄附された財産が主体となるため社員総会は存在せず、理事または理事会が最高意思決定機関となります。

(2) 理事
 法人には、一人または数人の理事が置かれ、法人を代表します(旧民法52条、53条)。社団法人では理事は社員総会で選任されます。
 理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害が生じるおそれがあるときは、裁判所が、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任します(旧民法56条)。

(3) 理事会
 理事が複数存在する場合に、定款または寄付行為により設けられる合議体をいいます。事業計画及び予算、事業報告及び決算案等の作成等を行うほか、社団法人では社員総会が議決した事項の執行も行います。

(4) 監事
 法人業務、財産運用、会計処理などの監査を行う機関を言います。民法上は任意の機関ですが(旧民法58条)、主務官庁による設立許可の一条件となることがあります。

(5) その他の機関
 このほか、任意の機関として、特別代理人、清算人(旧民法74条)、顧問、相談役、評議員会などがあります。

(6) 主務官庁による業務監督
 法人の業務は主務官庁の監督に属します。主務官庁は法人に対し、監督上必要な命令を下せるほか、職権でいつでも業務および財産の状況を検査できます(旧民法67条)。

4. 公益法人の改革
 公益法人制度改革に伴い、公益法人設立にあたっての許可主義が平成20年12月1日までの政令で定める日に準則主義に改められるなど、公益法人の制度は大きく変わります。
 公益法人制度改革の詳しい概要につきましては、「公益法人の改革」の項目をご覧ください。

 この公益法人につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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