訴訟上の和解
1. 訴訟上の和解とは、
民事訴訟が裁判所において継続中になされる、訴訟当事者間の裁判期日における、対象となる民事紛争について双方が譲歩して訴訟を終結させる一定の合意のことを言います。
この訴訟上の和解は、裁判官の面前において裁判の期日において行われるものであり確定判決と同一の強い効力を有しています。この点訴訟外で当事者が行う私法上の和解よりも強い効力を有しています。
訴を提起した後において、裁判官が主導して行う訴訟上の和解は、裁判官の判決予想である心証の程度によって行われることもあり、又、判決を書く裁判官自身がこの和解を勧めるため非常に説得的なこともあります。
私達弁護士の感覚としては、民事訴訟の半分から3分の2程度は実質上この訴訟上の和解によって解決しているとも思えます。
そして、そのような観点から判決は和解がまとまらなかった結果として下されることも多く、いわば「和解くずれの判決」という言い方をするときもあります。
2. 訴訟上の和解のタイミング
民事訴訟においては、第一審の地方裁判所においても、又、控訴審である高等裁判所においても和解が行われることがあります。例えば、地方裁判所における和解のタイミングとしては、事案により異なりますが、次のようなタイミングで行われることもあります。
3. 和解の勧告
裁判所は、訴訟係属中いつでも訴訟当事者に和解を勧告することができるものとされています(民事訴訟法第89条)。
裁判官としても、当事者双方の主張や証拠書類を吟味して、双方の譲歩を促し、円満な解決をめざすことが多くあります。
特に刑事事件であれば白か黒か二者択一であり、和解ということはありえません。これに対して、民事事件は白か黒かのみならず、その間に濃淡様々なグレー・ゾーンがあり、双方の互譲による和解の余地が多くあり、裁判官主導により和解がまとまることもあります。
4. 訴訟上の和解の効力
民事裁判の期日において和解が成立すれば、裁判所はこれを公文書として「和解調書」を作成します。
そして、この和解調書は、確定判決と同一の効力を有するものとされています(民事訴訟法第267条)。つまり、訴訟上の和解の成立によって訴訟は終了します。また、和解調書には判決と同様の執行力があり、強制執行の申立をすることもできます。
5. 訴訟上の和解を争う方法
訴訟上の和解に何等かの瑕疵(かし)が存し、これを争うことは、極めて難しいことですが、方法としては一応従前の訴訟において期日の指定を申し立てるとか、和解無効確認訴訟を提起するとか、請求異議訴訟を提起するとかの方法があるとされています。
しかし、実務上は裁判所において裁判官の面前で成立した訴訟上の和解を争うことは、非常に限られた場合にすぎないものと考えられます。
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