御器谷法律事務所

下請かけこみ寺

1.下請かけこみ寺とは、
 下請かけこみ寺とは、財団法人全国中小企業取引振興協会が中小企業庁からの委託を受けて行う事業で、
 (1) 中小企業からの下請取引に関する相談に対応する
 (2) 中小企業からの下請取引に関するトラブルを裁判外で解決する
 (3) 「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の普及啓発を図る
 ものです。
  正式名称を、「下請適正取引推進センター」とも言います。

2. 下請業者を保護するための法制度について、
 このホームページの「下請法」の項でも紹介していますが、下請業者を保護するための代表的な法制度として、「下請代金支払遅延等防止法」という法律があります。
 この法律は、下請業者と親事業者との間の取引の公正を図り、下請業者の利益を確保しようとする目的で制定されたものです(下請代金支払遅延等防止法1条)。
 詳しい内容は、このホームページの「下請法」の項を参照してもらいたいと思いますが、例えば、親事業者の下請業者に対する、受領拒否、下請代金支払遅延、下請代金減額、返品、買いたたき等の禁止を定めています。

3. 下請かけこみ寺の相談・紛争解決業務について
 しかし、下請業者は法律上保護されるということがわかっていても、それを親事業者に対して主張して、それを実現していくことができなければ、それは「絵に描いた餅」になってしまいます。
 そこで、下請かけこみ寺では、下請企業に対して、相談・紛争解決業務を提供して、下請業者の支援をしています。
(1) 相談業務
 下請かけこみ寺では、本部の財団法人中小企業取引振興協会と、47都道府県の下請企業振興協会において、下請業者からの相談にあたっています。
 相談には、各都道府県に駐在している専門の相談員等が対応することになりますが、弁護士が相談に対応することもあります。
 相談については、費用は無料です(ただし、踏み込んだ対応が必要であると判断される場合には、別途その弁護士と契約することで、費用がかかりますが、その弁護士に対応してもらうことができます)。
 相談に際しては、秘密は守られるので、相談内容が外部に漏れることをおそれず安心して相談することができます。
(2) 紛争解決業務
 さらに、下請業者が希望する場合には、その親事業者との間で、下請かけこみ寺が間に入って調停を行うことで、紛争解決を図ることができます。
 調停手続においては、下請かけこみ寺が選任した調停人(原則として1人の弁護士)が、両当事者の主張及び提出された資料を参考にして、和解案を提示するなどして、両当事者の間の紛争を友好的に解決すべく努力していきます。
 調停手続は、最初の期日から3ヶ月以内に終了するように努めることとされています。和解がまとまれば、調停人が和解契約書を作成し、両当事者がこれに各署名捺印し、調停人が立会人として署名捺印します。
 調停手続にかかる費用は、無料です。
 調停に際しては、非公開で進められます。

4. 下請かけこみ寺の紛争解決業務〜そのメリットとデメリット
 下請かけこみ寺の提供している紛争解決業務は、いわゆるADRです。
 ADRとは、Alternative Dispute Resolutionの略で、裁判外紛争解決手続と訳されます。
 では、下請かけこみ寺の調停手続を利用するメリット・デメリットとはどのようなものが考えられるのでしょうか。
 一般的にADRによる紛争解決をする場合のメリット・デメリットとも共通する部分が多いのですが、裁判によらずに下請かけこみ寺の調停手続の方法で解決するメリットとして、
(1) 当事者の自主的判断に委ねられるため、円満な紛争解決を図ることができ、その後取引等の関係が継続する場合等に適している
(2) 非公開で行われるため、両当事者以外にその内容を知られることがない
(3) 裁判手続よりも迅速に紛争を解決することができる場合が多い(目安として、第1回期日から3ヶ月程度、合計3回の期日)
(4) 裁判手続よりも紛争解決にかかる費用が安く済む(手続にかかる費用は無料)が挙げられます。
 他方、裁判によらずに下請かけこみ寺の調停手続の方法で解決するデメリットとして、相手方が紛争解決手続に参加しようとしない場合や、紛争解決のための和解案の作成に消極的な場合に、強制的に紛争を解決する仕組みがないこと等が挙げられます。
 なお、調停手続を利用する場合には、弁護士等の代理人を立てる必要は必ずしもありませんが、法律の専門知識を前提に調停における和解交渉を有利に進めたい場合には、弁護士等の代理人を立てることも選択肢の一つとして検討されるべきであると考えられます。

5. 下請かけこみ寺を利用できる業者とは
 下請かけこみ寺を利用することができるのは、中小企業に限られています。
 ここでいう「中小企業」とは、中小企業基本法2条1項にいう「中小企業」です。具体的には、業種によって、下の表の資本金等の額と常時使用する従業員数をみたしている必要があります。
主要事業の業種 資本金等の額 常時使用する従業員数
製造、建設、運輸業、その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下

 なお、下請かけこみ寺の調停手続を利用するにあたっては、中小企業であることを証明する書類として、法人の場合には法人の登記簿謄本を、個人事業者の場合には納税証明書等の提出が必要とされます。

6. 下請業者の実情と権利利益保護の必要性
 親事業者が不況のあおりを受けるなどして業績が悪化した場合に、しばしば問題となるのがいわゆる「下請いじめ」です。親事業者に対する依存度が高ければ高いほど、下請業者は親事業者に対して不公正な取引の是正を求めることが難しくなります。
 この「下請いじめ」は深刻な問題であり、この問題に対しては、「下請代金支払遅延等防止法」等の下請業者の権利利益を保護するための法制度が整備されているところです。
 しかし、そもそもこのような法制度が広く知られるに至っていないこと、また知っていても親事業者との関係悪化による取引減少をおそれることなどの理由から、まだまだ下請業者の正当な権利利益に対する保護が十分でないとみられる面もあります。
 そのため、下請業者の正当な権利利益を確保するため、この「下請かけこみ寺」が広く利用されることを願ってやみません。

(参考)下請かけこみ寺HP http://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/

 この下請かけこみ寺につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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