御器谷法律事務所
最高裁判所 平成20年7月4日判決
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンにつき加盟店基本契約を締結した加盟店が、仕入れた商品の代金について、潟Zブン―イレブン・ジャパンに対し、その支払先、支払金額、商品の単価、値引きの有無等の報告を求めた事案

1. 原審(地裁・高裁):原告の請求を棄却

 本件基本契約は、加盟店経営者と被上告人との間の権利義務関係を包括的に定めるもので、その一部を取り出して、受任者の報告義務を定める民法645条の規定を適用することも相当ではない。本件基本契約には上記のとおり税の申告のための資料の提供義務について詳細な定めがあるにもかかわらず、被上告人と推薦仕入先との取引内容について報告をする義務に係る明文の定めはないのであるから、被上告人は、上告人らに対し、上記報告をする義務を負わないものと解される。

2. 最高裁判所:破棄、差し戻し
 本件基本契約には、本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告については何らの定めがないことは前記確定事実のとおりである。しかし、コンビニエンス・ストアは、商品を仕入れてこれを販売することによって成り立っているのであり、商品の仕入れは、加盟店の経営の根幹を成すものということができるところ、加盟店経営者は、被上告人とは独立の事業者であって、自らが支払義務を負う仕入先に対する代金の支払を被上告人に委託しているのであるから、仕入代金の支払についてその具体的内容を知りたいと考えるのは当然のことというべきである。また、前記事実関係によれば、被上告人は、加盟店経営者から商品の発注データ及び検品データの送信を受け、推薦仕入先から検品データに基づく請求データの送信を受けているというのであるから、被上告人に集約された情報の範囲内で、本件資料等提供条項によって提供される資料等からは明らかにならない具体的な支払内容を加盟店経営者に報告すること(以下、この報告を「本件報告」という。)に大きな困難があるとも考えられない。そうすると、本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告について何らの定めがないからといって、委託者である加盟店経営者から請求があった場合に、準委任の性質を有する本件委託について、民法の規定する受任者の報告義務(民法656条、645条)が認められない理由はなく、本件基本契約の合理的解釈としては、本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解されない限り、被上告人は本件報告をする義務を免れないものと解するのが相当である。そして、本件特性については、これのみに注目すると、通常の準委任と比較して被上告人にとって不利益であり、被上告人の加盟店経営者に対する一方的な援助のようにも見えるが、このことは、仕入代金が前記のように被上告人において加盟店の売上金の管理等をするオープンアカウントにより決済されることに伴う結果であるし、前記事実関係によれば、被上告人には、オープンアカウントによる決済の方法を提供することにより、仕入代金の支払に必要な資金を準備できないような者との間でも本件基本契約を締結して加盟店を増やすことができるという利益があり、また、加盟店経営者がオープンアカウントによる決済の方法を利用して仕入商品を増やせば、売上げも増えることが見込まれ、売上利益に応じた加盟店経営に関する対価を取得する被上告人の利益につながるのであるから、本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解することはできない。
 したがって、被上告人は、本件基本契約に基づき、上告人らの求めに応じて本件報告をする義務を負うものというべきである。


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