企業と法律 「リスク・マネジメント」
1.リスク・マネジメントとは、
企業活動にともなって殆ど不可避的に発生する様々なリスク(危険)を予見し、これらを分析、評価して、これを未然に回避し、万一これが発生したときでもその損失を可能な限り軽減し、さらにこのような事故ないし不祥事の再発を防止するための管理活動一般を指すものとして使われています。
企業活動にかかわる様々の不祥事が後を絶ちません。不祥事を起こした企業の役員は、「今後はコンプライアンスの徹底を心掛けます。」等と謝罪の場において発言を繰り返すこともありますが、経営トップが法令遵守を実践し、且つリスク・マネージメントに対する強い問題意識を持つことが求められていると考えます。
なお、リスク・マネジメントは、広狭様々な意義で用いられることもあり、将来の危険をヘッジするための保険のことを意味することもありますが、ここでは主に刑事責任や民事責任さらには行政責任等を生ずることがある法律上の危険、すなわちリーガル・リスクに対する対処、対応を問題として、私なりに取り上げてみました。
2. 事前の予防
企業が企業活動を行う際にリスク管理を行ううえで最も大切なことは、リスクを最小限に防止することです。
そのために企業は、予防法務的見地からコンプライアンス体制を構築することが必要となってきます。つまり、法令違反を起こさないための法令遵守体制=コンプライアンス体制の構築が必要不可欠なものとなってきます。
「ころばぬ先の杖」が企業法務においても必要となってきています。この点は、別稿の「
コンプライアンス」において、具体的なコンプライアンス体制の構築、マニュアルやプログラムの作成、具体的な実行手続等についても記載していますので、これらをご参照下さい。
3. 不祥事の損失の軽減
企業は、常にリーガル・リスクへの具体的対応を考えなければなりません。
不幸にして企業においては不祥事が発生したとき、これに即時に対応して刑事責任、民事責任、行政責任のみならず社会的信用の毀損等を最小限にくいとめることが必要となってきます。
そのためには、企業において日頃からリスク発生時の担当部署を定め、適切に対応できる態勢を整えておくことが必要です。そして、そのためには社内においては人事問題であれば人事部等を中心として、又、債権回収の問題であれば審査法務部等を中心として、知的財産権等の問題であれば特許部や知財部等を中心として、さらにはその他の様々の問題については各問題毎に総務部や製造部門、営業部門が有機的連携を保って、発生した事態に臨機応変な対応を速やかにとることが要請されます。その際、各専門的分野の問題については、弁護士や会計士、弁理士等の専門的プロフェッションの協力を適宜求めることになります。
4. 不祥事の再発の防止のための施策
企業において一つの不祥事が起こった場合、その後この過ちを二度と繰り返さないことが必要となってきます。
一つの過ちを繰り返さない、小さな過ちを大きな過ちにしないことが企業経営においても要請されます。
つまり、一つの不祥事の原因を見極め、その不祥事を再び起こさないような工夫を社内的にどうすればいいのか。一つの小さな不祥事を大きな不祥事にしないために、企業は今後どうすべきなのかを考え、全社的な諸規定や組織の抜本的な見直しを検討し、且つこれを速やかに実行しなければなりません。いわば「災いを転じて福となす」の諺のように、一つの不祥事をフィードバックしてコンプライアンス体制を見直し、マニュアルやプログラムを改訂し、研修をやり直し、外部プロフェッション等との関係を再構築し、生きた法令遵守体制を作り直すことこそが再発防止のための真実のリスク・マネージメントとなるものと確信いたします。
この
リスク・マネジメントにつきましても、遠慮なく
当事務所にご相談下さい。