御器谷法律事務所

特別受益の評価

1.評価の基準時
 特別受益の評価の基準時は、相続開始時とするのが判例、通説。
 最判昭和51年3月18日(判時811号、50頁)
 「被相続人が相続人に対しその生計の資本として贈与した財産の価額をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産に加える場合に、右贈与財産が金銭であるときは、その贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもって評価すべきものと解するのが、相当である。けだし、このように解しなければ、遺留分の算定にあたり、相続分の前渡としての意義を有する特別受益の価額を相続財産の価額に加算することにより、共同相続人相互の衡平を維持することを目的とする特別受益持戻の制度の趣旨を没却することとなるばかりでなく、右のように解しても、取引における一般的な支払手段としての金銭の性質、機能を損う結果をもたらすものではないからである。これと同旨の見解に立って、贈与された金銭の額を物価指数に従って相続開始の時の貨幣価値に換算すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができる。」
 但し、遺産分割における相続財産の評価は分割時とされていることから、実務上特別受益財産の評価をするときは相続開始時と遺産分割時との双方の評価をすることもあり。

2. 各財産につき評価の方法
(1) 土地
 相続開始時の土地の時価による。調停上は路線価を基準とすること多し。
(2) 建物
 建物についても相続開始時の時価によるとする見解あり。
但し、建物については経年減価があり、贈与時の価額を相続開始時の価額に評価換え等する説も有力。
(3) 金銭
 前記最判により、贈与額につき物価指数により相続開始時の貨幣価値に換算。
 その具体的方法は、総務省統計局編「消費者物価指数」等による。
(4) 動産
 建物と同様、相続開始時の時価によるとの説あり。
 但し、嫁入り道具等については、贈与時の価額を相続開始時の価額に評価換えするとの説が有力。
(5) 株式、有価証券、ゴルフ会員権等
 相続開始時の時価による。
(6) 不動産取得のための金銭の贈与
 金銭の贈与と考えられるものの、具体的な不動産の取得のためであることが明白なときは上記不動産の贈与に準じて考えられることあり。

3. 贈与目的物の滅失、価格の増減−民法第904条
 贈与の目的物が受贈者の行為によって滅失し、価格が増減したときでも、相続開始時においてなお原状のままであるものとみなして、これを評価する。
 つまり、受贈者の故意又は過失によって事実行為として目的物を取りこわし、焼失し、棄損した場合のみならず、法律行為として売却した場合にも、その目的物が贈与当時の原状のまま存在するものとしてこれを評価することとなります。
 そして、この規定の反対解釈として、不可抗力や第三者の行為による目的物の滅失等の場合には、相続開始時の現状にて目的物を評価することとなります。

 この特別受益の評価につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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