税務訴訟とは、
1.税務訴訟とは、
租税に関する行政処分の違法を理由として、その課税行政処分の取消を求める「取消訴訟」を典型とする、租税に関する法的紛争解決のための裁判上の手続をいいます。
この税務訴訟によって、納税者の法律上保護された権利を守り、且つ、租税法律主義を貫徹するための制度として一般国民に保障された大事な制度です。
ところが、現実における税務訴訟や異議申立、審査請求の実態を見ると、このような国民のTax Payerとしての権利が十分に保障されているかにつき疑義を感ぜざるをえないことも見受けられます。
平成17年度の国税庁の統計資料によれば、異議申立件数は4,501件、請求認容率は13.6%、審査請求は2,963件、請求認容率は14.8%、訴訟提起は394件、原告勝訴率は9.3%となっています。
2. 不服申立前置主義
租税に関する行政処分の取消しを求める「取消訴訟」は、原則として課税庁に対する異議申立てや国税不服審判所への不服申立てを経た後でなければ提起できないこととなっています。これを「不服申立前置主義」と言っています。
この不服申立前置主義は、国税通則法115条1項、地方税法19条の12、関税法93条に明記されていますが、その趣旨は租税に関する課税庁の確定や徴収が毎年度毎に大量に行われ、課税に関する専門性や技術性を考慮し、不服申立を前置して税務行政段階での審理を行うこととし、且つ裁判所における大量の訴訟事件の審理を回避しようとしたものと言われています。
3. 税務調査からの流れ
税務調査から税務訴訟への流れを、あくまでも一般論として次のように見渡すことができます。
(1) 税務調査の結果
税務調査の結果をふまえて次の2つの処理があります。
| 1) 修正申告− |
税務署や国税局から税務上の問題点を指摘され、納税者自らが税務申告を修正しこれを提出することを言います。課税庁における執拗で余りに細かな点に渡る長期の調査や、取引先等に対する反面調査等に根負けして修正申告でケリをつけたという話しを聞くこともしばしばあります。
なお、修正申告をすると異議申立等の不服の申立てはできなくなります。 |
| 2) 更正処分− |
納税者の税務申告に問題点があったときに税務署長や国税局がこれを是正するための行政処分です。
この課税庁の更正処分については、異議申立等の不服の申立ができます。 |
(2) 異議申立て
税務署長や国税局長等が行った更正処分や滞納処分等に不服がある者が行う、その原処分行政庁に対する不服申立を「異議申立て」と言います(国税通則法75条1項)。
この異議申立ては、処分があったこと知った日の翌日から2ヶ月以内に異議申立書を提出することによって行わなければなりません(同法77条1項)。
(3) 審査請求
税務署長や国税局長等に対する異議申立てを行い、その結果である税務署長や国税局長等の異議決定に対してなお不服がある者が行う、国税不服審判所長に対する不服申立を「審査請求」と言います。
この審査請求は、異議決定書の謄本の送達の日の翌日から1ヶ月以内に行わなければならないこととなっています。
なお、例外的に、国税通則法75条1項5号、2号、6項、4項(青色申告に係る更正処分等)に該当する場合等には、異議申立をすることなく、国税不服審判所に対して直接に審査請求することができることがあります。
(4) 税務訴訟
税務訴訟は、「取消訴訟」を典型とし、「取消訴訟」が数のうえでも多く提起されていますが、租税に関する法的紛争のための裁判上の手続と広義にとらえた場合の税務訴訟については、これを6つの類型に分けることがあります。
それは、取消訴訟、課税行政処分の無効確認訴訟、争点訴訟、課税庁の不作為の違法確認訴訟、過誤納付金還付請求訴訟、国家賠償請求訴訟です。
「取消訴訟」は、租税に関する行政処分の違法を理由として、その課税行政処分の取消しを求める訴訟のことです。
この「取消訴訟」は、原則として、処分又は裁決があったことを知った日から6ヶ月以内に提起しなければならないこととなっています(行政事件訴訟法14条)。
なお、「取消訴訟」においては、課税庁の原処分の適否を争うときは、その問題となっている課税原処分自体についてその取消しを求めるべきものとされ、これを「原処分主義」とも呼ばれています。 |
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