御器谷法律事務所

電気通信事業法の概要

1. 電気通信事業法とは、
 電気通信事業に関する枠組みや規制のルールを定めた情報通信業界の基本法で、1984年に成立し、1985年4月1日より施行されました。
 第二次大戦後の日本の通信業界は、国内の電気通信を担う日本電信電話公社と国際的な電気通信を担う国際電信電話株式会社によって一元的に独占事業として運営されていました。
 しかし、このような電電公社と国際電電との一元的な独占事業としての運営は、電気通信分野での著しい技術の進展や利用者の多様且つ高度なニーズの中で、その限界や弊害が指摘され、電電公社の民営化とともに電気通信分野への競争原理の導入が強く主張されることとなりました。
 そして、このような時代の要請を受けて、電電公社は「日本電信電話等に関する法律」(NTT法)によって民営化され、電気通信分野への全面的な競争原理の導入の趣旨のもとに電気通信事業法が成立したのであります。
 この電気通信事業法によって、電気通信分野への新規の参入が可能となる法律の整備がなされたものとされています。
 なお、国際電信電話株式会社(KDD)も、その後完全民営化され、国内の電気通信事業への参入が可能となったものとされています。

2. 電気通信事業法の改正の経緯
 電気通信事業法は、いく度かその改正が行われていますが、次の改正が特に重要な意味をもつものとされています。
(1) 平成9年の改正
 NTTが保有するアクセス回線につき、他の通信事業者との原則的な接続義務を課すこととしました。
 そして、不可欠な電気通信設備として指定された設備、つまり指定電気通信設備につき、接続約款の作成や、接続協定の締結等を規定しました。
 これらは、いずれも電気通信事業分野への新規事業者の参入を図り、有効且つ公正な競争を促進する趣旨のものであります。
 つまり、このようにNTTに対して他の通信事業者への接続を義務づけることが、非対称規制ないしドミナント規制と呼ばれることもあります。
(2) 平成12年の改正
 第一種電気通信事業者の接続料の原価算出方式について、いわゆる長期増分費用方式を導入しました。
(3) 平成15年の改正
 第一種電気通信事業(電気通信回線設備を自ら設置)と第二種電気通信事業(第一種電気通信事業者から電気通信回線設備を借り受け)の区分を廃止しました。

3. 電気通信事業法の概要
 電気通信事業法の主な規定は次のおとりです。

第1章 総則
(目的)
第1条  この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。
(定義)
第2条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  電気通信 有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。
二  電気通信設備 電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう。
三  電気通信役務 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいう。
五  電気通信事業者 電気通信事業を営むことについて、第九条の登録を受けた者及び第十六条第一項の規定による届出をした者をいう。
六  電気通信業務 電気通信事業者の行う電気通信役務の提供の業務をいう。
第2章 電気通信事業
(利用の公平)
第六条  電気通信事業者は、電気通信役務の提供について、不当な差別的取扱いをしてはならない。
(基礎的電気通信役務の提供)
第七条  基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務をいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない。
(電気通信回線設備との接続)
第三十二条  電気通信事業者は、他の電気通信事業者から当該他の電気通信事業者の電気通信設備をその設置する電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは、次に掲げる場合を除き、これに応じなければならない。
一  電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるとき。
二  当該接続が当該電気通信事業者の利益を不当に害するおそれがあるとき。
三  前二号に掲げる場合のほか、総務省令で定める正当な理由があるとき。
(第一種指定電気通信設備との接続)
第三十三条  総務大臣は、総務省令で定めるところにより、全国の区域を分けて電気通信役務の利用状況及び都道府県の区域を勘案して総務省令で定める区域ごとに、その一端が利用者の電気通信設備(移動端末設備(利用者の電気通信設備であつて、移動する無線局の無線設備であるものをいう。次条第一項において同じ。)を除く。)と接続される伝送路設備のうち同一の電気通信事業者が設置するものであつて、その伝送路設備の電気通信回線の数の、当該区域内に設置されるすべての同種の伝送路設備の電気通信回線の数のうちに占める割合が総務省令で定める割合を超えるもの及び当該区域において当該電気通信事業者がこれと一体として設置する電気通信設備であつて総務省令で定めるものの総体を、他の電気通信事業者の電気通信設備との接続が利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に欠くことのできない電気通信設備として指定することができる。
2 前項の規定により指定された電気通信設備(以下「第一種指定電気通信設備」という。)を設置する電気通信事業者は、当該第一種指定電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、当該第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が取得すべき金額(以下この条において「接続料」という。)及び他の電気通信事業者の電気通信設備との接続箇所における技術的条件、電気通信役務に関する料金を定める電気通信事業者の別その他の接続の条件(以下「接続条件」という。)について接続約款を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 前項の認可を受けるべき接続約款に定める接続料及び接続条件であつて、その内容からみて利用者の利便の向上及び電気通信の総合的かつ合理的な発達に及ぼす影響が比較的少ないものとして総務省令で定めるものは、同項の規定にかかわらず、その認可を要しないものとする。
4 総務大臣は、第二項(第十六項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項、第六項、第九項、第十項及び第十四項において同じ。)の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、第二項の認可をしなければならない。
一  次に掲げる事項が適正かつ明確に定められていること。
イ 他の電気通信事業者の電気通信設備を接続することが技術的及び経済的に可能な接続箇所のうち標準的なものとして総務省令で定める箇所における技術的条件
ロ 総務省令で定める機能ごとの接続料
ハ 第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者及びこれとその電気通信設備を接続する他の電気通信事業者の責任に関する事項
ニ 電気通信役務に関する料金を定める電気通信事業者の別
ホ イからニまでに掲げるもののほか、第一種指定電気通信設備との接続を円滑に行うために必要なものとして総務省令で定める事項
二  接続料が能率的な経営の下における適正な原価を算定するものとして総務省令で定める方法により算定された原価に照らし公正妥当なものであること。
三  接続条件が、第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者がその第一種指定電気通信設備に自己の電気通信設備を接続することとした場合の条件に比して不利なものでないこと。
四  特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。
(第一種指定電気通信設備の共用に関する協定)
第三十七条  第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、他の電気通信事業者と当該第一種指定電気通信設備の共用に関する協定を締結し、又は変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ総務大臣に届け出なければならない。
2 第三十三条第一項の規定により新たに指定をされた電気通信設備を設置する電気通信事業者は、当該指定の際現に当該電気通信事業者が締結している他の電気通信事業者との協定のうち当該電気通信設備の共用に関するものを、総務省令で定めるところにより、遅滞なく、総務大臣に届け出なければならない。
第3章 土地の使用等
第4章 電気通信事業紛争処理委員会
第5章 雑則
第6章 罰則

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