御器谷法律事務所

景 表 法

1. 景表法とは、
 正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」であり、昭和37年に制定、施行されました。
 景表法は、景品や不当表示による不当な顧客誘引を規制する独占禁止法の不公正な取引方法のうちの「ぎまん的顧客誘引」(一般指定第8項)、「不当な顧客誘引」(一般指定第9項)に関する特別法であり、不当表示及び不当景品については景表法が優先して適用されます。
 そして、景表法は、商品やサービスに関する不当な景品類や不当な表示による顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を保護することを目的とします(景表法§1)。
 なお、景表法の所管については、平成21年9月1日をもって、消費者庁に移管されています。
 また、内閣総理大臣は、この景表法による権限を消費者庁長官に委任し、消費者庁長官は、この委任された権限の一部を公正取引委員会に委任することができるものとされています(法第12条1項2項)。そして、公取委が、その権限を行使したときは、速やかに、その結果を消費者庁長官に報告するものとされています(同3項)。

2. 景品類への規制の概要
 景表法は、内閣総理大臣が景品類の価額の最高額、総額、種類、提供の方法等に関する事項を制限、禁止することができるものとしています(§3)。
 具体的には、総付景品、一般懸賞、共同懸賞に分けて次のような景品類の規制を行っています。
総 付 景 品
取引価格 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価格の2/10
一 般 懸 賞
懸賞による
取引額引
景品類限度額
(1)最高額 (2)総額
5,000円未満 取引価格の20倍 懸賞に係る売上
予定総額の2%
5,000円以上 10万円
(1)、(2)両方の限度内でなければならない
共 同 懸 賞
懸賞による
取引額引
景品類限度額
(1)最高額 (2)総額
取引価格に
かかわらず30万円
懸賞に係る売上
予定総額の3%
(1)、(2)両方の限度内でなければならない
   (この表は公正取引委員会のホームページより引用)

3. 不当表示への規制の概要
 景表法は、次の表示を不当表示として禁止しています(§4)。
(1) 優良誤認表示
 商品、役務の品質、規格等につき、実際のもの等より著しく優良等であると表示。
(2) 有利誤認表示
 商品、役務の価格、その他の内容につき、実際のもの等より著しく有利等と表示。
(3) その他の不当表示
 (1)(2)以外で、一般消費者に誤認される表示で、内閣総理大臣が指定するもの。具体的に指定したものには、「商品の原産国に関する不当な表示」、「無果汁の清涼飲料水等についての表示」、「消費者信用の融資費用に関する不当表示」、「有料老人ホームに関する不当な表示」、「比較広告に関する景表法上の考え方」、「不動産のおとり広告に関する表示」等があります。
 なお、内閣総理大臣は、上記(1)優良誤認表示であるか否かを判断するため必要なときは、事業者に対し期間を定めて当該表示の裏付けとなる合理的な証拠を示す資料の提出を求めることができます。そして、事業者がこの資料を提出しないときは、排除命令の適用につき上記(1)に該当する不当な表示とみなされることになりました(景表法§4・(2))。

4. 違反事件の処理手続等
(1) 排除命令
 内閣総理大臣は、景品類や表示に関して景表法に違反する行為があるときは、事業者に対し、その行為の差止め、再発防止に必要な事項、公示等を命ずることができます(§6)。
(2) 都道府県知事の指示
 都道府県知事は、景表法に違反する行為があるときは、事業者に対し、その行為の取りやめ、再発防止に必要な事項、公示等を指示することができます(§7)。

5. 公正競争規約(景表法§11)
(1) 事業者、事業団体は、景品類や表示について、内閣総理大臣及び公取委の認定を受けて、公正な競争を確保するための規約等を締結することができます。これを「公正競争規約」と呼んでいます。
 公取委の認定を受けていますので、不当な取引制限(カルテル)等の規定は適用されません(§11(5))。
(2) なお、この公正競争規約に関して各業界毎に公正取引協議会が設立されています。
(3) 平成18年1月現在、公正競争規約は100余件あります。

6. 判決、審判例
日本文化センター事件−公取委 平成12年3月14日排除命令
 株式会社日本文化センターは、「フルシーズン真綿肌掛布団3枚」と称する商品の取引に関し、平成9年4月から平成11年3月までの間に放送したテレビ広告及び通信販売用カタログに掲載した広告を見た一般消費者の誤認を排除するために、当該商品の中綿には、真綿を用いているかのように表示しているが、実際には、当該商品の中綿は絹の短繊維に糸くず、ネップその他のきょう雑物が混ざったものであって、真綿とは認められないものであり、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示しなければならない。この公示の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。

本間ゴルフ事件−公取委 平成13年2月28日排除命令
 「本間ゴルフは、・・・ゴルフクラブ16品目の価格について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示をしていたものであって、かかる行為は、不当景品類及び不当表示防止法第4条第2号の規定に違反するものである」

宇多商会事件−公取委 平成11年10月1日審判審決
 「被審人は、今後、「リデックス」と称する商品又はこれと同一の物理的構造・特性を有する商品の取引に関する広告をするときは、別紙審決案別添広告記載の表示と同様の表示をすることにより、ネズミを撃退・駆除する性能・効果について実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示をしてはならない」

まるき自動車事件−公取委 平成12年3月31日排除命令
 「まるき自動車有限会社は、別表記載の18台の中古自動車を一般消費者に販売するに当たり、当該中古自動車の走行距離計を巻き戻すことにより、走行距離数を過小に表示しているものであって、かかる表示は、中古自動車の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示である旨を、速やかに公示しなければならない。この公示の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。」

メル・ローズ事件−公取委 平成10年6月29日排除命令
 「株式会社メル・ローズは、一般消費者の誤認を排除するために、平成8年12月から平成9年9月までの間に、イタリア製生地を用いて中華人民共和国において縫製し自社の商標を付した紳士用スーツを自社の直営店及び取引先小売店を通じて一般消費者に販売するに当たり、その原産国に関して一般消費者が判別することが困難な表示を行っていた旨を、速やかに公示しなければならない。この公示の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。」
「同社は、今後、外国において縫製した紳士用スーツについて、本件記載事実と同様の表示をすることにより、その原産国に関して一般消費者が判別することが困難な表示をしてはならない。」

サクラス事件−公取委 平成10年3月2日排除命令
 「株式会社サクラスは、「新・スピードテンkg」と称する商品の取引に関し、平成8年7月から平成9年4月までの間に新聞折り込みビラに掲載した広告を見た一般消費者の誤認を排除するために、当該広告の表示のうち、当該商品を摂取することにより、格別の食事制限や運動を伴うことなく、容易に、短期間に著しい痩身効果が得られるかのような表示は事実と異なるものであり、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示である旨を、速やかに公示しなければならない。この公示の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。」
 「同社は、今後、「新・スピードテンs」と称する商品の取引に関し、ビラその他これに類似する物による広告をするときは、本件事実と同様の記載をすることにより、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示をしてはならない。」

日本交通公社事件−公取委 平成3年11月21日審判審決
 「被審人は、(1)『白い浪漫を求めて白夜の北極圏と北欧4ヶ国フィヨルドの旅11日間』と称する主催旅行の取引に関し、平成元年2月から同年7月までの間に配布した『熟年海外旅行想い出の旅季節特選1989年5月〜8月白い浪漫を求めて白夜の北極圏と北欧4ヶ国フィヨルドの旅11日間』と題するリーフレットの見開き部分・・・の表示のうち、沈まない太陽の観光に関する記載(2)『魅惑の4大都市を巡るヨーロッパ周遊の旅10日間ロンドン・マドリード・ローマ・パリ』と称する主催旅行の取引に関し、平成元年10月から同年12月までの間に配布した『華紀行欧羅巴』と題するパンフレットの2枚目左側部分・・・の表示のうち、プラド美術館の見学及び同美術館の見学の前後の日程表の日次2ないし5の旅行サービスの内容に関する記載(3)『ジョーイオーストラリアシドニー・パース8日間』及び『ジョーイオーストラリア西オーストラリア・パース8日間』と称する主催旅行の取引に関し、平成元年4月10日発行『エイビーロード4月号』に掲載した広告・・・の表示のうち、ワイルドフラワーの観光に関する記載が、いずれも実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示であった旨を、速やかに公示しなければならない。この公示の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。」
 「被審人は、今後、海外主催旅行の取引に関し、パンフレット、雑誌、新聞その他これらに類似する物による広告をするときは、本件記載事実と同様の表示をすることにより、その内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示をしてはならない。」

東京もち事件−最高裁 平成12年3月14日第3小法廷判決
 「原審の適法に確定した事実関係の下においては、本件審決に上告人主張のような手続的異邦及び裁量権の濫用、その範囲逸脱の違法がないとした原審の判断は、正当として是認することができ」る。

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