御器谷法律事務所

独占禁止法の全体像

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」

 独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、経済運営の秩序を維持するための基本的ルールを定めた法律であり、私的独占、不当な取引制限(カルテル)、不公正な取引方法を禁止しています。
 この規制対象を「独禁法の三本の柱」ということがありますが、最近ではこれに企業結合の規制を加え「四本の柱」ということもあるようです。

1. 私的独占の禁止
 この類型については、以下のような行為につき定めが置かれています。

(1) 私的独占の禁止(3条)
 私的独占とは、事業者が単独で又は他の事業者と結合するなどして、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます(2条5項)。

(2) 企業結合の制限(第4章)
 株式の保有、役員の兼任、合併・営業の譲受けなどの企業結合については、競争制限的な効果を生じることがあることから、これらの行為についても、独占禁止法は制限を加えています。

2. 不当な取引制限(カルテル)の禁止
 不当な取引制限(カルテル)とは、複数の同業者が市場支配を目的として、価格や生産・販売数量などを制限する合意をいいます(2条6項、3条、6条、8条)。その合意内容によって、価格カルテル、数量カルテル、市場分割カルテル、入札談合などと呼ばれます。

3. 不公正な取引方法の禁止

(1) 不公正な取引方法については、事業者が不公正な取引方法を用いるときは第19条で、事業者団体が不公正な取引方法に該当する行為を事業者にさせるときは第8条で、国際的契約の中で不公正な取引方法に該当する事項を内容とするものがあれば第6条で、それぞれ規制されています。
 ところで、不公正な取引方法の具体的内容は、公正取引委員会の指定によって定められます(2条9項)。公正取引委員会による一般指定では、16の行為類型が不公正な取引方法として指定されています。
 一般指定の内容は、取引拒絶(一般指定 1項、2項)、差別対価・取扱(3項、4項、5項)、不当廉売 (6項)、不当高価購入(7項)、ぎまん的あるいは不当顧客誘引(8項、9項)、抱き合せ販売等(10項)、排他条件付取引(11項)、再販売価格の拘束(12項)、拘束条件付取引(13項)、優越的地位の濫用(14項)、競争者に対する取引妨害(15項)、競争会社に対する内部干渉(16項)となっています。
<不公正な取引方法の一般指定−16の行為類型>

(2) 下請代金支払遅延等防止法
 同法は、下請取引における親事業者による受領拒否、下請代金の支払遅延、下請代金の減額、返品、買いたたき、購入強制、割引困難な手形の交付などの下請取引における不公正な取引方法を規制し、下請事業者の利益を保護することを目的としています。

(3) 不当景品類及び不当表示防止法
 過大な景品類や虚偽・誇大な表示による不当な顧客誘引行為を規制する法律です。 景品類については、公正取引委員会の告示によって、景品類の最高額、総額、提供の方法などが定められ、表示については、商品等の品質や価格などについて一般消費者に誤認されるおそれのある表示等が禁止されています。
 なお、この景品表示法は、平成21年9月1日をもって、消費者庁に移管されました。

4. 違反行為の防止策及び制裁等

(1) 行政措置 1−排除措置命令 
 独占禁止法を運用する行政機関として、公正取引委員会が設置されています。 
事件の端緒→公正取引委員会の審査
→a)排除措置命令
  b)不問処分:警告・注意・打ち切り
  c)刑事告発
排除措置命令への不服→審判開始決定→審判→審決→司法手続へ
 公正取引委員会は、公正で自由な競争秩序を回復するために、違反行為者に対して、その違反行為を排除する等の措置を採るよう命ずることができます。これを排除措置命令と呼びます。
上記審決に対しては、一般の行政処分に対するのと同じように、その取消しを求める訴えを裁判所に起こすことができます(85条 東京高等裁判所の専属管轄)。

(2) 行政措置 2−課徴金
 カルテル等が行われた場合には、カルテル等を行った事業者や事業者団体の構成事業者に対して、所定額の課徴金を国庫に納付すること命ぜられます(7条の2、8条の3)。 課徴金は、価格に影響を与えるカルテルが行われた場合に課されます。
 課徴金の額
(卸売業) カルテル期間中(最大 3年間)の
当該商品売上額の 2%
(中小企業 1 % )
(小売業) 3% (中小企業 1.2%)
(その他) 10% (中小企業 4 % )
再犯企業(過去10年間に課徴金支払)には、5割増し

製造業等 小売業 卸売業
  排除型私的独占 6% 2% 1%
  不当廉売、差別対価等 3% 2% 1%
  優越的地位の濫用 1%
主導的事業者に対する課徴金を割増し(5割増し)

(3) 民事上の措置 1−損害賠償

 独占禁止法で禁止されている私的独占、不当な取引制限(カルテル)、不公正な取引方法等を行った事業者及び事業者団体に対し、被害者は、損害賠償の請求ができます。独占禁止法による損害賠償請求の場合、事業者及び事業者団体は、無過失損害賠償責任を負います(25条)。この損害賠償請求訴訟は東京高等裁判所の専属管轄です(85条)。

(4) 民事上の措置 2−差止請求(平成13年)
 不公正な取引方法によって著しい損害を受け、又は受けるおそれがある者は、侵害者等に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます(24条)。
 私人に対して、直接、差止請求権を認めた、という点で画期的な制度と評されています。

(5) 刑事上の措置−罰則

 独占禁止法違反行為は、犯罪行為として刑罰を受けることがあります。
 また、両罰規定(95条)により、違反行為者のほか、事業者や事業者団体にも罰金が科されます。更に、法人代表者に対する罰則も規定されています(95条の2)。独占禁止法違反の主要な罪(89条から91条までの罪)は、公正取引委員会による検事総長への告発があって、初めて刑事訴追の手続が開始されます(96条)。

 この独占禁止法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい
「独占禁止法セミナー」へ

執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ