御器谷法律事務所
新会社法−9. 委員会設置会社

1. 委員会設置会社とは、

指名委員会、監査委員会、報酬委員会を置く株式会社(2条12号)。
取締役会と会計監査人を設置した株式会社は、定款に定めをおくことにより委員会設置会社となることができるようになりました(327条)。
この場合には、監査役を置いてはなりません(同条4項)。
 株式会社をめぐるガバナンスのあり様につき選択の幅が広められたとの評価の存するところです。

2. 設置及び機関
(1) 株式会社は、定款の定めによって、委員会を置くことができる(326条2項)
(2) 委員会設置会社には、指名委員会、監査委員会、報酬委員会という3つの委員会を置き(2条12号)、監査役は置けず(327条4項)、1人又は2人以上の執行役を置かなければならない(402条)

3. 委員会設置会社における取締役と取締役会
(1) 取締役−任期は1年(332条3項)
  原則として、業務執行権がない(415条)
(2) 取締役会− 各委員会の委員の選定(400条2項)や経営の基本方針、内部統制システムの整備、執行役等の職務の執行の監督等の権限が中心(416条)。
具体的な業務執行は、執行役に委任。

4. 3つの委員会
 各委員会は委員3人以上で組織され、委員は取締役の中から取締役会の決議により選定され、委員の過半数は社外取締役でなければならない(400条)。
(1) 指名委員会− 株主総会に提出する取締役や会計参与の選任及び解任に関する議案の内容を決定する(404条1項)
(2) 監査委員会− 執行役等の職務の執行の監査及び監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定(同条2項)。
妥当性の監査権限をも有するものとされています。
(3) 報酬委員会− 執行役等の個人別の報酬等の内容を決定する(同条3項)。

5. 執行役
(1) 執行役
1) 委員会設置会社では、1人又は2人以上の執行役を置かなければならない(402条1項)。
2) 執行役は、取締役会の決議によって選任する(同条2項)。
3) 会社との関係は委任(同条3項)、取締役を兼ねることが可(同条6項)、任期は1年(同条7項)、取締役会決議で解任も可(403条)。
4) 執行役の権限−取締役会の決議によって委任を受けた委員会設置会社の業務執行の決定と業務の執行(418条)
(2) 代表執行役
1)
選任− 取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定する。執行役が1人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとする(420条)。
2)
権限− 代表執行役は、委員会設置会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(420条3項−349条4項)。
(3) 執行役の責任
1)
対会社− 執行役は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(423条)。
2)
対第三者− 執行役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(429条)。

この新会社法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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<参考−旧商法における「委員会等設置会社」>

1. 「委員会等設置会社」とは、
 大会社又はみなし大会社であって、取締役会の中に社外取締役が各々その過半数を占める指名委員会、監査委員会、報酬委員会という3つの委員会を設置し、且つ、会社の業務の執行を担当する「執行役」を置く会社のことを一般的には言います。

2. 趣旨、ねらい
 日本における従来型の「監査役設置会社」と異なり、社外取締役を必須の条件とし、3つの委員会の設置、執行役の選任、監査役を置かないという特徴を有し、取締役会が経営を監督するというアメリカ型の経営形態を導入したものであり、商法等の改正により平成14年春から施行されました。
 会社の機関をめぐる改正により企業の統治形態(コーポレート・ガバナンス)も変化をとげ、この「委員会等設置会社」により、取締役会は経営の監督機能を中心とし、会社業務の執行は執行役がこれを担当し、よって会社における経営と執行を分離し、企業経営における適法性と効率性を確保しようとのねらいがあるとされています。
 従って、日本における会社の機関としては、(1)従来型の「監査役設置会社」、(2)大会社における重要な財産の処分等を決定する「重要財産委員会設置会社」、(3)「委員会等設置会社」の3つから、大会社等はその経営形態を選択することができるようになりました。

3. 要件
 商法及び監査特例法上の大会社又はみなし大会社であって、次の3つの要件がワン・セットとして必要です。
(1) 3つの委員会の設置
各委員会の委員は、各々3名以上、各々その過半数は社外取締役であって執行役ではないものがなることが必要です。
1) 指名委員会−株主総会に提案する取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定する委員会。
2) 監査委員会−取締役及び執行役の職務の執行を監査する委員会。
3) 報酬委員会−取締役及び執行役に対する個々の報酬を決定する委員会。
なお、取締役の任期は1年、取締役会は、経営の基本方針、監査委員会の職務遂行のため必要な事項、執行役の職務分掌等の業務を決定し、取締役及び執行役の職務の執行を監督します。
(2) 執行役の選任
 執行役は、取締役会において1人又は数人選任され、任期は1年です。
 執行役は、取締役会より委任を受けた事項の決定を行い、会社の業務を執行する権限を有します。従って、取締役会は、法が定めた取締役会の決定事項以外は、執行役に対し業務執行の大幅な委任が可能となり、執行役による迅速な意見決定が可能となってきます。
 会社を代表する執行役を「代表執行役」といいます。
(3) 監査役は置かない

4. 実務の対応
 日本における実務の対応としては、大勢としては従来型の「監査役設置会社」が多数を占めていますが、最近の傾向としてはコーポレート・ガバナンスの有り方の議論ともあいまって、社外取締役の選任や執行役員制度の導入が増加しているとの指摘があります。

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