御器谷法律事務所

新会社法−機関設計

1. 機関設計とは、

 一般的には、会社における株主総会、取締役、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会及び執行役という各機関を、会社の種類に応じて、どのように設置するかを決することを言います。(第2編株式会社、第4章機関、第2節株主総会以外の機関の設置、法326条〜328条)。
 従前商法や監査特例法及び有限会社法により会社の資本金や負債等により会社を大会社、中会社、小会社、有限会社等に分け、これらに法律による一律の機関の設置を強制していました。
 しかし、新会社法によっては、各会社の実態に応じて法の範囲内での柔軟な機関の設置が認められる面もあり、実態に即した会社運営が可能となってきたと言われています。
 なお、この機関設計は、会社における登記すべき事項とされています(法911条3項、15号〜19号、22号)。

2. 前提としての定義規定(法2条)
 新会社法は、会社における機関設計の前提としての定義規定を次のとおり定めています。
(1)公開会社−「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社」(5号)
  上場会社とは異なる概念ですので要注意。
(2)大会社−「次に揚げる要件のいずれかに該当する株式会社」(6号)
イ、最終事業年度に係る貸借対照表(第439条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第435条第1項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が5億円以上であること。
ロ、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が2百億円以上であること。」
(3)取締役会設置会社−「取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社」(7号)
(4)会計参与設置会社−「会計参与を置く株式会社」(8号)
(5)監査役設置会社−「監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社」(9号)
(6)監査役会設置会社−「監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社」(10号)
(7)会計監査人設置会社−「会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社」(11号)
(8)委員会設置会社−「指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「委員会」という。)を置く株式会社」(12号)

3. 機関設計の決まり事(326条〜328条)
(1)株主総会は、すべての会社においてその設置が必要です。
   但し、その権限や開催手続等は会社によって異なります。
(2)取締役は、1人又は2人以上置くことが必要です(326条1項)。
(3)取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会は、定款によって定めたときに設置できます(326条2項)。
(4)公開会社、監査役会設置会社、委員会設置会社は、取締役会を設置しなければなりません(327条1項)。
(5)取締役会設置会社は、原則として監査役を設置しなければなりません(同条2項)。
(6)会計監査人設置会社は、原則として監査役を設置しなければなりません(同条3項)
(7)委員会設置会社は、監査役を置けません(同条4項)が、会計監査人を設置しなければなりません(同条5項)。
(8)大会社は、原則として監査役会及び会計監査人を設置しなければなりません(328条1項)。
(9)公開会社でない大会社は、会計監査人を設置しなければなりません(同条2項)。

4. 実務としての機関設計
 新会社法における実務としては、次の会社における機関設計が一つの典型的なものとなる余地があるでしょう。
(1)上場会社においては、
 1)株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
 2)株主総会+取締役会+委員会+会計監査人
   が一般的な機関設計となるでしょう。
(2)小規模閉鎖会社(小規模非公開会社)においては、
 1)株主総会+取締役(1名)
  もっともシンプルな形態であり、従前の有限会社と似ています。
  株主総会の決議事項が多くなってきます。
 2)株主総会+取締役会+監査役
  商法における従来からの形態です。
 3)株主総会+取締役又は取締役会+会計参与
  等の機関設計が考えられるでしょう。

 この新会社法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

ウィンドウを閉じる