御器谷法律事務所

独禁法−談合


1. 談合とは、
 国、地方公共団体、特殊法人等が行う公共事業の発注や、物品、工事等の調達先を決定する入札に際し、入札参加者間において事前に調整をして予め受注予定者を決定しておき、この受注予定者が落札できるようにするため、受注予定者以外の者はこの受注予定者の入札価格よりも高い価格での入札を行ない、よって受注予定者に落札させる行為。
(1) 事前に、受注予定者の決定に関する基本ルールを、入札参加者間において合意しておく=基本合意
(2) 個々の入札ごとに受注予定者を決めていく合意=個別調整合意

2. 禁止の趣旨
(1) 入札談合においては、受注予定者に落札させるために入札価格ないし落札価格についての調整が入札参加者間で行なわれるものであり、価格制限的効果が顕著であり、独占禁止法上のカルテル(不当な取引制限)に該当します。
(2) 刑法上の談合罪に該当するときは、公の競売又は入札の公正を害する行為として刑法上の処罰の対象となります。

3. 入札談合をすると、
(1) 独占禁止法上は、ハードコアカルテル
 入札談合において、入札参加者間で共通の意思の連絡による共同行為、相互拘束が認められ、市場における競争の実質的制限が認定されれば、独占禁止法上は、ハードコアカルテル(不当な取引制限)に該当します(法§2・(6)、§3後段)。
 これは、事業者のみならず事業者団体においても行なわれることがあります。
従って、カルテルとして次の効果が発生します。
 1)排除措置(法§7)
 事業者がカルテル規制に違反すると、公正取引委員会は、カルテルの差止め等の排除措置を命ずることができます。
 具体的には、協定等の破棄、周知徹底、手段等の破棄、報告、予防措置(価格、数量等の報告)等。
 2)課徴金(法§7の2)
 価格に関するカルテルについては、事業者がこのカルテルにより利得した不当な利得を徴収する制度として課徴金が大きな実効性をあげています。
 この課徴金については、別項で詳細に説明します。
 3)損害賠償請求
 カルテルによって損害を被った被害者は、カルテルを行なった事業者に対し民事上の損害賠償請求をすることができます(法§25、民法§709)。
 4)刑事罰 
 カルテルに該当する行為をした者には刑事罰(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)が課され、又、法人への両罰規定(5億円以下の罰金)が定められています(法§89、§95)。
(2) 刑法上は、談合罪

 刑法第96条の3は、次のとおり規定しています。
 1)「偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札の公正を害すべき行為をした者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。」
 2)「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。」=談合罪
 従って、刑法上の談合罪では「公正な価格を害し又は不正な利益を得る」との目的が必要となります。これに対してカルテルの場合には、このような主観的要件は不要とされています。
 なお、入札談合の際には、刑法の談合罪(§96の3)と独占禁止法上のカルテルの罪とは、いわゆる観念的競合の関係にあるものとされています。
(3) 住民訴訟
 入札談合により、公共事業を発注した地方自治体は、入札が適法に行なわれていたならば決まっていただろう公正な価格との差額につき損害を被ることがあります。この場合、この地方自治体は談合を行なった事業者に対して損害賠償の請求をすることができます。
 そして、この地方自治体がこの損害賠償請求をしないときは、その住民が監査請求の後、その地方自治体に代って損害賠償の請求をすることができることがあります。これを「住民訴訟」(地方自治法§242の2)と呼んでおり、かつて多く提起されました。しかし、2002年の地方自治法の改正により、この種の住民訴訟は廃止され、現在は地方自治体自身が損害賠償請求することが本来的姿となっていると言えるでしょう。
(4) 指名停止措置
 入札談合が多数行なわれている事態に対応して、国土交通省は、「談合等の不正行為に対する指名停止措置の強化」の方針を公表しています。特に「入札談合等関与行為防止法」の施行を踏まえ、入札談合者につき公共事業への指名停止措置につき、その期間及び地域につきこれを強化しています。
(5) 会社について
談合がマスコミ報道されると、会社への社会的な信用が下がり、社員の士気の低下をまねくことがあります。
指名停止により、会社の売上が大幅に減少することがあります。
また、談合により、予定していた上場が延期されることがあります。
(6) 担当者について
法令違反として懲戒処分の対象となり、又、刑事罰の対象となり逮捕や立件されることもあります。
(7) 取締役について
談合に関与した取締役は、法令違反として会社から解任されたり、損害賠償の請求を受け、又、株主代表訴訟の被告とされることもあります。
また、社長等については、叙勲から除外されることもある、と言われることもあります。

4. 入札ガイドライン
 公正取引委員会は、平成6年7月5日、「公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(公共入札ガイドライン)を公表し、入札に際して、「受注者の選定に関する行為」、「入札価格に関する行為」、「受注数量等に関する行為」、「情報の収集・提供、経営指導等」に分けて、1)原則として違反となるもの、2)違反となるおそれがあるもの、3)原則として違反とならないものの参考例を挙示しています。

5. 談合防止法(官製談合防止法)の制定
 入札談合に関しては発注者側である国や地方自治体等の職員が入札談合等に関与するいわゆる官製談合が問題となっています。
 そこで、この官製談合を防止するために、「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」が平成14年7月24日に成立し、平成15年1月6日から施行されています。
 この談合防止法においては、公正取引委員会における発注機関への必要な改善措置の要求、当該発注機関における調査、措置の検討、入札談合に関与した職員への賠償請求・懲戒事由の調査等が規定されています。
 官製談合の防止については、「官製談合防止の手引−入札談合等関与行為防止法の制定に対応」(発行元:財団法人建設業適正取引推進機構、¥1600)が分りやすく解説されています。この手引書の作成にあたっては、建設業適正取引推進機構に官製談合防止法遵守の手引研究委員会が設けられ、当事務所の金子晃弁護士が座長としてまとめられました。
 なお、平成18年12月には官製談合防止法が改正され(施行は平成19年4月迄)、談合に関与した公務員に対する刑事罰(懲役5年以下又は罰金250万円以下)が課せられることとなりました。そして、この改正の際、本法の名称が「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」と改められました。
 また、平成19年3月現在、この官製談合防止法は、北海道の岩見沢市、新潟市、日本道路公団、国土交通省に対して適用されています。
 そして、平成22年4月には、青森市発注土木工事官製談合事件で、公正取引委員会は、前副市長の「幇助」(同法第2条5項4号)を初めて認定し、青森市に対して全国で8例目の改善措置を命じました。

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