動産譲渡登記
1. 総論
従来から動産を担保の目的とする場合には、公示する方法としては引渡のみが規定されておりました。しかし、この方法は必ずしも公示として十分ではなかったことから、より明確な公示方法の創設が求められておりました。動産譲渡登記制度の創設はこのような要請に答えたものであります。
今回、債権譲渡特例法の改正により、従来から民法に定められている動産の対抗要件としての「引渡」に加えて「登記」が認められることになりました。なお、対抗要件とは他人に対して自分の権利を主張してそれが法律的に認められるために必要な要件のことです。
また、施行日は平成17年10月。
2. 登記の対象
個別の動産でも集合動産でも動産譲渡登記の対象動産となります。
動産譲渡登記をすることができるのは、債権譲渡登記と同様、法人が譲渡人である動産の譲渡に限られるとされております。これに対して、譲受人については個人であると法人であるとを問いません。
3. 動産譲渡登記の立法の狙い
今回の改正により創設された動産譲渡登記は、動産譲渡担保、とりわけ集合動産譲渡担保について規律することを主たる目的にしたものであるといわれております。
しかし、担保目的の譲渡と真正の動産譲渡を区別することが一般に困難であり、登記官にとっても困難であること及び真正の動産譲渡にも登記するメリットはあることから、担保目的に限らず真正の動産譲渡も登記の対象とされました。
4. 動産譲渡登記の効力
動産譲渡登記をすれば、その動産の引渡をうけることなく、当該動産に関する権利の取得を第三者に対抗することができることになります。
動産譲渡登記の存続期間は原則として10年を超えることができないこととされております。
債権譲渡登記の存続期間が原則として50年以内とされていることとは対照的であると言えます。
5. 引渡と動産譲渡登記の関係
動産譲渡の対抗要件としての引渡と登記の関係は、いずれも効力には差がないことから、先にどちらかの対抗要件を備えた方が優先するという結論になります。
6. 動産譲渡登記の方法と開示
動産譲渡登記の登記事項については、その概要については誰に対しても開示することとなっていますが、登記事項の全部については一定の利害関係人に対してのみ開示するものとされております。
7. 登記事項
動産譲渡登記の登記事項は基本的には以下のとおりです。
| 1) |
譲渡人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所 |
| 2) |
譲受人の氏名及び住所 |
| 3) |
譲渡人又は譲受人の本店又は主たる事務所が外国にあるときは日本における営業所又は事務所 |
| 4) |
登記の登記原因及びその日付 |
| 5) |
譲渡に係る動産を特定するために必要な事項で法務省令で定めるもの |
| 6) |
登記の存続期間 |
| 7) |
登記番号 |
| 8) |
登記の年月日 |
8. まとめ
このように債権譲渡特例法の改正により、債権担保の手段として動産譲渡の登記が認められました。今後、債権譲渡登記とともに債権担保の選択肢の一つとして活用されるものと考えられます。
この
動産譲渡登記につきましても、遠慮なく
当事務所にご相談下さい。