御器谷法律事務所

《 不 正 競 争 防 止 法 》

【目次】
 □ 法律の目的
 □ 不正競争とは?−不正競争の類型
 □ 不正競争に該当しない場合
 □ 侵害回復手段−差止請求権等
 □ 時効
 □ 罰則


□ 法律の目的
 不正競争防止法は、事業者間の公平な競争を確保するための措置を定めて、国民経済の健全な発展を目的とする法律であり、民法における不法行為の特別法に位置づけられています。

□ 不正競争とは?−不正競争の類型
1. 周知表示の使用等
(1) 他人の商品等表示(業務に関する氏名、商号、商標、標章、商品の容器や包装として需要者の間に広く認識(周知)されているものなど)と同一あるいは類似の商品を使用し、またはそのような表示が使用された商品を譲渡したり、引き渡したりして、
(2) 他人の商品または営業と混同を生じさせること

2. 著名表示の使用等
 自己の商品等表示として、他人の著名な商品等表示と同一あるいは類似の商品を使用し、またはそのような表示が使用された商品を譲渡、引渡等すること(混同の要件は不要です)

3. 形態模倣(いわゆるデッドコピーの禁止)
 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡したり、貸し渡したりすること
※但し、最初に他人の商品が販売された日から3年を経過した場合や他人の商品が同種の商品が通常有する形態と変わらない場合などは不正競争とされません。
 また、他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けたときに、それが模倣作品であることを知らず、かつ、知らないことについて重大な過失がない者が、その商品を譲渡したり、貸し渡したりする行為については、差止請求や損害賠償請求あるいは刑事処分の対象とはなりません。

4. 営業秘密に関する不正行為
 営業秘密といえるためには、1) 秘密として管理されていること、2) 事業活動に有用な情報であること、3) 公然と知られていないこと、という3つの要件を満たすことが必要です。
 このような営業秘密については、次の(1)から(4)に挙げる(取得、使用、開示)行為が禁止されています。
 特に、(3)(4)のように、情報の取得自体は正当であるものの、取得目的が不正な場合をも禁止対象としている点、営業秘密に対する保護をより手厚くしているものといえます。

 不正取得型
(1) 窃取、詐欺、強迫等不正な手段により営業秘密を取得、使用、開示する行為。
(2) (1)のような不正取得行為の介在を(営業秘密の取得時あるいは取得後)知って、または重過失により知らないで営業秘密を取得、使用、開示すること。
 不正開示型
(3) 不正の利益を得る目的あるいは損害を加える目的で、営業秘密を保有する事業者から与えられた営業秘密を使用、開示すること。
(4) (3)のような不正開示行為の介在を(営業秘密の取得時あるいは取得後)知って、または重過失により知らないで営業秘密を取得、使用、開示すること。

※取引によって営業秘密を取得した者(取得時にその営業秘密について不正開示行為であること、または不正取得行為・不正開示行為の介在を知らず、かつ、知らないことにつき重過失がない者に限る)が、その取引によって取得した権原の範囲内においてその営業秘密を使用・開示する行為については、差止請求や損害賠償請求あるいは刑事処分の対象とはなりません。

5. 技術的制限手段(不正コピー防止装置等)の回避禁止
 営業上用いられている技術的制限手段により制限されている影像・音の視聴・プログラム等(不正コピー防止のために実施している技術的制限手段)の効果を妨害する機能のみを有する装置・機器やプログラム(記憶媒体・機器)を譲渡したり、引き渡したりすること、あるいはそのプログラムの有線送信等

6. ドメイン名の不正使用
 不正の利益を得る目的あるいは損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一または類似のドメイン名(インターネットにおいて個々のコンピュータを識別するために割り当てられる番号)を使用する権利を取得・保有・使用すること

7. 品質等の誤認惹起行為
 商品・サービス・広告等に、その商品・サービスの原産地、品質、内容、製造方法、用途、数量につき誤認させるような表示をし、あるいはその表示をした商品を譲渡したり、引き渡したりすること。

8. 信用毀損行為
  
 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、あるいは流布する行為

9. その他の不正競争行為
・代理人等の商標冒用行為の禁止
・外国の国旗・国際機関の標章等の商業上の使用禁止
・外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止

□ 不正競争に該当しない場合
1. 普通名称・慣用表示・自己氏名の使用
 商品(あるいは営業)につき、その商品(営業)の普通名称、あるいは、同一あるいは類似の商品(営業)について慣用されている商品等表示を普通に用いられる方法で使用し、あるいは、そのような表示を使用した商品を譲渡したり、引き渡したりする場合には、不正競争防止法が適用されません。
 また、自己の氏名を不正の目的でなく使用するような場合も、不正競争防止法が適用されません。

2. 先使用
 他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一・類似の商品等表示を使用等する行為については、不正競争防止法が適用されません。
 このような先使用の主張が出た場合には、権利の侵害を主張する者からさらに先使用者に対し、混同防止表示を付加するように請求することが認められています。

□ 侵害回復手段−差止請求権等
(1) 不正競争によって営業上の利益を侵害される(または侵害されるおそれがある)場合、その侵害者に対して、侵害の停止あるいは予防を請求することができます。
 具体的には、侵害行為を組成した物の廃棄、侵害行為に使用した設備の除却等侵害の停止あるいは予防に必要な行為を請求することができます。
 このように、単なる金銭賠償に止まらず、差止め請求権までをも認めることで、被侵害者の利益保護をより強めています。
(2) 不正競争によって営業上の利益を侵害されたものが侵害者に対して損害賠償を請求する場合、その侵害者が侵害行為により利益を受けた額を損害額を推定するなど、損害賠償額の立証を容易にし、利益を侵害された者の保護をより強めております。
(3) 不正競争により営業上の信用を害された場合、裁判所が損害賠償のほか、その者の営業上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることを可能としています。

□ 時効
 民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権については、損害及び加害者を知ったときから3年間あるいは、不法行為時から20年間の経過により消滅すると定められています。
 一方、営業秘密に関する不正競争のうち、営業秘密を使用する行為に対する差止請求権(妨害停止請求)については、侵害の事実及び侵害者を知ったときから3年間、あるいは侵害行為開始時から10年間差止請求権を行使しない場合は、時効が完成します。
 また、営業秘密を使用する行為に対する損害賠償をする場合、侵害行為開始時から10年間を超える損害については請求できません。

□ 罰則
 上記の不正競争行為(一部例外あり)については、10年以下の懲役または、1,000万円以下の罰金等に処せられることとなります。
 また、法人の従業員等あるいは人の代理人等が違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人に対し3億円以下の罰金刑を、その人に対しても10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金を科すものと規定されています。



 なお、上記の営業秘密侵害罪については、企業のIT化が進む中で営業秘密強化の要請の高まりを受け、平成21年に罰則強化の改正がなされました。
 改正のポイントは、以下の3点です。
(1) 「目的」要件の変更
 従前は、行為者に「不正の競争の目的」(=自己を含む特定の競業者を競争上優位に立たせる目的)がある場合に限定されていました。
 この点、改正法は、「不正の利益を得る目的で、またはその保有者に損害を加える目的」(いわゆる図利加害目的)ある場合まで拡大化をはかりました
(2) 営業秘密の不正取得に対する刑事罰対象範囲の拡大
 従前は、第三者等が、詐欺等行為または管理侵害行為を行ったうえで、かつ、(イ)保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等を取得すること、(ロ)保有者の管理に係る営業秘密記録媒体等の記載又は記録について、その複製を作成すること、の各方法による営業秘密の取得・複製の作成の場合に限り、秘密情報の取得行為を処罰していました。
 この点、改正法は、詐欺等行為または管理侵害行為により取得した場合は、取得方法の限定なく処罰対象となることとしました。
(3) 従業者等による営業秘密の領得行為自体への刑事罰の導入
 従前は、営業秘密を保有者から示された者(従業者や取引先等)は、領得した後にこれを使用・開示して初めて処罰されることとなっていました。
 この点、改正法は、記録媒体等の1)横領、2)複製作成、3)消去義務に違反し、かつ、消去を仮装するという方法で領得した場合には、使用・開示がなくとも領得行為自体を罰することとしました。

注)本文では、説明のため、条文を簡略化した箇所がございますので、具体的な法律の規定及びその適用については、法文を直接ご参照下さい。

 この不正競争防止法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

執務の方針| 弁護士のプロフィール| 取扱事件 | ご案内 顧問契約 |

弁護士費用 | 事務所案内図 | リンク| トップ