5. 執行役員からの回答
a. 執行役員からの回答の可否
執行役員に株主からの質問に対して回答をさせて良いのかどうかについてまず検討いたします。
結論からいえば、執行役員から回答させることは可能であります。
もっとも、商法上の説明義務はあくまでも機関としての取締役が負うものでありますから、その説明の履行を補助する者として執行役員から回答させるということになります。
このように、説明義務を尽くすための履行補助者として執行役員を指名し、執行役員から直接説明させることは可能であると考えられるのであります。
この場合の執行役員の立場としては、代表取締役である議長や議長から指名された取締役の説明の補助者となるものと考えられております。
b. 執行役員からの回答の是非
では、執行役員からの回答が可能であるとしても、回答させた方がベターなのかそうではないのか、その是非については別の考慮が必要となります。
実務的にいえば、株主からの質問に対しては、説明義務を負う機関である取締役が説明するのが大原則であります。執行役員が回答すると、場合によっては、取締役が説明できないのではないかと株主に受け取られることにもなりかねません。
従って、実務上は基本的には取締役が回答し、執行役員の回答はあくまでも、取締役の回答のサポート程度にとどめた方が無難な対応なのではないかと思われます。