御器谷法律事務所

7. 平成15年度の最近の傾向

1. 最近の株主総会の特徴は、個人株主数の増加です。

(1) 銀行などによる株式の持合い解消が急速に進んでいることから、個人株主や、外国人株主、機関投資家は増加傾向にあり、とりわけ株価下落等の影響により個人株主の増加が目立ちます。
 それだけではなく、一般株主の出席数及びその発言数もまた増加の傾向にあります。
 それに伴って1時間、会社によっては2時間をも超すような株主総会も少なからず見受けられました。
 会社の最高の意思決定機関である株主総会の意義も、一段と重要視されるようになっているものと思われます。
(2) 一般株主からの質問については、営業政策・経営政策、財務状況や退職慰労金・役員報酬、株主還元・配当政策、株価動向等が主なものであり、一般株主の関心はこのような事項に集中しているものと考えられます。
(3) 株主総会の開催日については、相変わらず6月下旬のいわゆる集中日に株主総会を開催する企業が圧倒的多数とはいえ、集中日の分散化は少しずつですが進みつつあります。
 招集通知の発送については、法定の14日よりもこれを早める傾向が見られます。
(4) また、株主総会への一般株主の増加に伴い、総会運営についても、より開かれた総会へと、一層のビジュアル化を図ったり、第2会場を設け多くの株主を集める工夫をするなど、株主総会をIR活動の一環として捉える企業も確実に増えつつあるといえます。
   
2. 近時の数度にわたる商法改正に伴い、定款変更をした会社も多く見受けられました。

(1) 今年度、商法改正との関係で特に話題となったのは、「委員会等設置会社」への移行が挙げられます。
 この制度は、複数の社外取締役の起用などを条件として、監査役制度を廃止し、取締役会が経営を監督するという米国型の経営形態を可能にするものであり、取締役会の監査機能を重視し、業務の執行を執行役が担当するというものです。
 大手有名企業数社においても、委員会等設置会社への移行が見られるとことであり、また、米国型経営を支持する向きもあり、今後も定款変更により、この制度への移行をする企業は増えるものと考えられます。
 もっとも、複数の社外取締役の確保等の問題があることから、この制度への移行については、難しい面も存在します。
(2) 監査役の任期については、商法の付則により、平成15年5月以降最初に到来する定時総会の終結後に就任する監査役の任期が、従来の3年から4年へと伸長されました。
(3) a) 株主総会の特別決議及び監査役の同意、b) 定款の規定、取締役会決議及び監査役の同意、あるいはc) 社外取締役につき、定款による規定及び事前軽減契約のいずれかの方法により、取締役の商法266条 1項 5号に基づく責任の軽減を可能とすることが法改正により可能となりました
 例えば、社外取締役については、その責任を報酬等の2年分に軽減することが可能となったのであり、今後、委員会等設置会社へ移行する会社の増加がより見込まれることもあり、また、委員会等設置会社へ移行しない会社においても社外取締役は一層増加するものと考えられることから、社外取締役の責任を軽減する例も増えてくるものと考えられます。
(なお、監査役についても、責任の軽減が可能となりました。)
(4) 株式の持合いの解消による安定株主の減少に伴い、株主総会の定足数、とりわけ、特別決議の定足数を満たすことが困難の状況が現れつつあります。
 一方で、合併や会社分割などの企業再編においては、迅速な意思決定を可能にすることも要請されており、このような流れから、特別決議の定足数の軽減を定める会社も多く見受けられました。
(5) そのほか、単元未満株式、端株の買増制度、株券喪失登録制度等に関する定款変更も見受けられました。

3. 株主総会のIT化 

 近時の商法改正により、株主総会の招集通知や貸借対照表、損益計算書等等の添付書類について、電子メールによる発送が可能となりました。
 ホームページ上で、株主の参加を呼びかける例も見受けられます。
 また、数としてはわずかながら、インターネットによる議決権行使を導入する会社も現れております。
 定時株主総会後は、株主からの承認を得た貸借対照表等の計算書類について、ホームページによる公告をすることも可能となりました。

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