「独禁法と私」 - その8、官製談合の弁護
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- よくある官製談合
入札談合に発注者側である官庁の職員等が関与する官製談合、官と民との慣れ合いや天下り人事等により意外と普通にあった時代もあったようです。
相談の案件は、ある公団が天下り先のファミリー企業と官を中心とした入札談合を繰り返し、刑事事件へと発展した件でした。すでに公団の担当者とファミリー企業の担当者が、地検特捜部により独禁法違反として刑事訴追されていました。
- 依頼企業の主張
依頼企業は、環境関係の中堅企業であり、ファミリー企業ではなく、天下りも受けておりませんでした。
ただ、公団より見積書の作成をたのまれたり、価格交渉的なやりとりも若干あったことから、公正取引委員会や地検からの取り調べもあり、供述調書も取られているようでした。
依頼企業としては、談合に関与した認識はなく、事実他の入札業者との接触も殆どありませんでした。
ただ、10件の入札案件で依頼企業の特殊な調査対象もあり、7~8件落札していたことも問題とされていました。
- 弁護の方針
依頼企業は、未だ行政処分も刑事処分も受けていませんでしたので、まだまだ争う余地を感じました。
ファミリー企業の公判前に、公取委に早速行くと、担当者から「先生のホームページ、詳しいですね。」と言われ、驚いていると思わず「有難うございます。」と答えてしまいました。
依頼企業は、官側担当者と若干の話はしていますが、他の入札参加者とは全く接触もないことから、いわゆる談合の成立要件である「意思の連絡」を欠くことを強く主張し、さらに入札価格の算出にあたり独自積算の資料も提出いたしました。
公取委の担当者は、ポーカー・フェイスでしたが、決して決めつけた対応ではなかった感じがしました。
- 刑事事件の傍聴
公団職員とファミリー企業担当者の刑事事件の公判は、多くの傍聴者がいましたが、その中に公取委の担当者もおり、軽く会釈しました。公取委の内部でも行政部門と刑事立件部門との間にファイアー・ウォールの存在を感じました。
そして、公団の職員やファミリー企業の担当は、執行猶予付の有罪判決でした。傍聴の中で談合の具体的内容がよく分かり、依頼企業には談合の責任は問えないとの確信に至り、公取委に対して行政処分としても不問とすべき旨の報告書を提出しました。
- 弁護の結果
公取委の行政処分は10数社に及びましたが、依頼企業は行政処分にも問われることもなく、無罪放免となりました。弁護のやりがいを感じる瞬間でもありました。
後日、依頼企業の担当者から、お蔭様で会長も無事叙勲の栄に浴することができました、との嬉しい報告も受けました。
(弁護士の守秘義務より、設定等は変えています。)
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