御器谷法律事務所

独禁法−カルテルに関する審判、判例

(1) クボタほか事件
- 公取委 平成11年4月22日勧告審決
 クボタ、栗本鐵工所、日本鋳鉄管の「3社は、共同して、平成9年度におけるダクタイル鋳鉄管直管の年度配分率を決定し、同年度末までに総需要数量に対する各社の受注数量の割合が右決定したものとなるよう受注数量の調整を行う旨合意することにより、公共の利益に反して、我が国におけるダクタイル鋳鉄管直管の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって」、独禁法2条6項の不当な取引制限に該当し、3条に違反する。

(2) グラスライニング機器事件
- 公取委 平成9年8月6日勧告審決
 神鋼パンテック株式会社、八光産業株式会社、日本碍子株式会社の3社は、共同して、需要者から引き合いのあったグラスライニング機器について、チャンピオンを決定し、チャンピオンが受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、グラスライン機器の販売分野における競争を実質的に制限していたものであって、これは、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に違反するものである。

(3) 丸善ほか事件
- 公取委 平成8年5月31日勧告審決
 外国新刊図書の輸入販売業を営む丸善株式会社ほか「7社は、共同して、6大学向け特定外貨建図書の主要6通貨の納入換算率における最低のマークアップ額を決定することにより、公共の利益に反して、6大学向け特定外貨建図書の販売分野における競争を実質的に制限しているものであって、これは独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、同法3条の規定に違反するものである。」

(4) 東急百貨店ほか事件
- 公取委 平成8年4月23日勧告審決
 「株式会社東急百貨店ほか12名の百貨店業者は、共同して、東京都等発注の特定物件について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、東京都等発注の特定物件の取引分野における競争を実質的に制限していたもの」であり、独占禁止法3条に違反する。

(5) 東芝ケミカル事件
- 東京高裁 平成7年9月25日判決
  ここにいう『意思の連絡』とは、複数事業者間で相互に同内容又は同種の対価の引上げを実施することを認識ないし予測し、これと歩調をそろえる意思があることを意味し、一方の対価引上げを他方が単に認識、認容するのみでは足りないが、事業者間相互で拘束し合うことを明示して合意することまでは必要でなく、相互に他の事業者の対価の引上げ行為を認識して、暗黙のうちに認容することで足りると解するのが相当である。(黙示による『意思の連絡』といわれるのがこれに当たる。)
 特定の事業者が、他の事業者との間で対価引上げ行為に関する情報交換をして、同一又はこれに準ずる行動に出たような場合には、右行動が他の事業者の行動と無関係に、取引市場における対価の競争に耐え得るとの独自の判断によって行われたことを示す特段の事情が認められない限り、これらの事業者の間に、強調的行動をとることを期待し合う関係があり、右の『意思の連絡』があるものと推認されるのもやむを得ないというべきである。
 原告は、同業7社に追随する意思で右価格引上げを行い、同業7社も原告の追随を予想していたものと推認されるから、本件の本件商品価格の強調的価格引上げにつき『意思の連絡』による共同行為が存在したというべきである。

(6) 協和エクシオ事件
- 公取委 平成6年3月30日審判審決
 被審人は、電気通信設備の工事等を営む者であるところ、日本電気インフォメーションテクノロジー株式会社と共同して、米国空軍契約センター発注に係る電気通信設備の運用保守の入札について、あらかじめ話合いにより受注予定者を定め、他の入札参加者は同受注予定者が受注できるように協力して入札する旨合意することにより、公共の利益に反して、米国空軍契約センター発注の電気通信設備の運用保守の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、これは独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、同法第3条に違反するものであり、かつ、同法第7条の2第1項に規定する課徴金の対象となる役務の対価に係る行為に該当する。

(7) 目隠しシール入札談合刑事事件
- 東京高裁 平成5年12月14日判決
 弁護人は、東京高裁昭和28年3月9日判決・高民集6巻9号435頁(いわゆる新聞販路協定事件)を援用し、ここに『事業者』とは競争関係にある事業者であることが必要であるところ、日立情報システムズは、指名業者ではないから、他の指名業者と競争関係にはなく、結局、ここにいう『事業者』に当たらないという。
 『事業者』を競争関係にある事業者に限定して解釈すべきか疑問があり、少なくとも、ここにいう『事業者』を弁護人の主張するような意味における競争関係に限定して解釈するのは適当ではない。
 この『事業者』を同質的競争関係にある者に限るとか、取引段階を同じくする者であることが必要不可欠であるとする考えには賛成できない。

(8) 団体の組織等の改組(三重県バス協会事件)
- 公取委 平成2年2月2日勧告審決
 社団法人三重県バス協会は、・・・会員の大口輸送等の貸切バスの運賃等を決定することにより、三重県における大口輸送等の貸切バスの取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、これは、同法第8条第1項1号の規定に違反するものであり、また、会員の貸切バスの増車認可申請を制限することにより、構成事業者の機能又は活動を不当に制限していたものであって、これは、同法第8条第1項第4号の規定に違反するものである。

(9) 石油価格協定刑事事件
- 最高裁 昭和59年2月24日第二小法廷判決
 独禁法の立法の趣旨・目的及びその改正の経過などに照らすと、同法2条6項にいう「公共の利益に反して」とは、原則としては同法の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを指すが、現に行われた行為が形式的に右に該当する場合であっても、右法益と当該行為によって守られる利益とを比較衡量して、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」という同法の究極の目的(同法1条参照)に実質的に反しないと認められる例外的な場合を右規定にいう「不当な取引制限」行為から除外する趣旨と解すべきである。

(10) 旭硝子ほか事件
- 公取委 昭和58年3月31日勧告審決
 審決は、法の適用において、前記行為について「(旭硝子、セントラル硝子、東洋曹達、徳山曹達の)4社は、共同して我が国へ輸入されるソーダ灰の輸入数量、引取比率及び輸入経路を決定することにより、公共の利益に反して、我が国のソーダ灰の輸入取引分野における競争を実質的に制限しているものであって、これは、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、同法第3条の規定に違反するものである」とした。

(11) 石油価格協定刑事事件
- 東京高裁 昭和55年9月26日判決
 公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する内容の拘束力ある共同行為が行なわれれば、直ちに不当な取引制限が成立することを規定しているものであって、不当な取引制限の罪は、共同行為によってもたらされる競争の実質的制限の外部的表現である共同行為の内容の実施をその成立要件とするものではないと解するのを相当とする。

(12) 排除措置の性質(石油価格協定過料事件)
- 最高裁 昭和52年4月13日第二小法廷決定
 公取委の前記文案は、抗告人のいかなる行為が違法とされたのかについて審決の内容を具体的に表示させるための必要に出た文言であって、これにより抗告人が違反行為を自認したことになるものとは解されない。
 本件審決が排除措置として周知徹底方法を命じた趣旨、目的と社会通念に従って合理的に判断すれば、右承認について公取委の有する裁量にもおのずから一定の客観的基準が存在するものというべきであり、それが具体的に審決主文に示されていないからといって、主文の内容が不特定であるとすることはできない。

(13) 日本油脂ほか事件
- 公取委 昭和50年12月11日勧告審決
 日本油脂(株)、日本化薬(株)、旭化成工業(株)、日本カーリット(株)、日本工機(株)、中国化薬(株)の6社は、共同して、四国アンホ株式会社の運営に関する協定を締結し、これを実施することにより、公共の利益に反して四国地方における硝安油剤爆薬の販売分野における競争を実質的に制限しているものであって、これは、独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し、同法第3条の規定に違反するものである。

(14) 将来に対する排除措置(東宝・新東宝事件)
- 東京高裁 昭和28年12月9日判決
 いったん違反行為がなされた後なんらかの事情のため現在はこれが継続していないが、いつまた違反行為が復活するかわからないような場合には、現に排除の必要が解消したものとはいえないわけであって、たまたま審決のときに違反行為がないからといってこれを放置することなく、将来にわたって右の違反行為と同一の行為を禁止することは、むしろ右違反行為の排除のため必要な措置というべきものである。

(15) 新聞販路協定事件
- 東京高裁 昭和28年3月9日判決
 ここにいう事業者とは法律の規定の文言の上ではなんらの限定はないけれども、相互に競争関係にある独立の事業者と解するのを相当とする。
 一群の事業者が相集って契約協定等の方法によって事業活動に一定の制限を設定する場合であって、その中に異種又は取引段階を異にする事業者を含む場合においても、これらの者のうち自己の事業活動の制限を共通に受ける者の間にのみ共同行為が成立するものといわなければならない。

(16) 新聞販路協定事件
- 東京高裁 昭和28年3月9日判決
 締結される各個の契約が相集って新聞販売の取引分野を細分された地域に分割し、各地域に1販売店をおき、各販売店は互いに自己の地域内において排他的な地位を得るとともに他の地域においては事業活動を行わないとの制限を課している一つの事業形態をもたらし、ここに地域は一の地盤割となるのである。
 昭和23年4月頃以来東京都内において原告らの間に暗黙に新聞販売店の新聞販売についての地域協定が形成されているものと認めるのを妨げない。
 原告ら新聞販売店を含む東京都内の新聞販売店相互間に新聞販売の販路及び顧客の制限を内容とする本件地域協定が暗黙に形成されたことはこれを認めるに足りる。

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