御器谷法律事務所

談合に関する審判、判例


1. 入札談合と「意思の連絡」
 入札談合においては、別稿「談合」において記載のとおり、(1)事前に受注予定者の決定に関する基本ルールを入札参加者間において合意しておく=基本合意と、(2)個々の入札ごとに受注予定者を決めていく合意=個別調整合意が必要とされています。
 しかし、この基本合意の成立を立証することが困難な場合があり、そのような場合には個別調整の事実を積み重ねこれらを間接事実として、談合の基本合意を推認する手法が採られることがあります。
協和エクシオ事件−公取委審判審決平成6年3月30日
「話合いによって受注予定者が決定するまでもなく、いわば無競争で日電インテクが受注予定者になることが多かったとしても、それは本件基本合意の認定の妨げにならず、各社の本件27物件についての対応は本件基本合意の存在を推認する事実といえる。」
「話合いの当事者は、原則として「かぶと会」会員であり、入札に参加する同業者が集まって受注予定者を決める話合いをする本件のような場合には、当事者は、おのずから通常考えられる具体的な方法については、おおよそのことを予想し理解しているものと解され、話合いの方法等が決められていないものであっても、当然に一般的かつ通常予想される具体的な方法等は、上記合意の具体的な内容に含まれるものと解すべきである。」

2. 百貨店の中元等談合と「回し」
東急百貨店等事件−公取委勧告審決平成8年4月23日
受注予定者となって受注した者は、他の指名業者へ当該物件を順次発注する「回し」と称する方法を用いることなどにより、他の指名業者の売上げ及び利益が確保できるようにする

3. 沖縄県ビルメンテナンス協会事件−公取委勧告審決平成5年5月14日
「社団法人沖縄県ビルメンテナンス協会は、独占禁止法第2条第2項に規定する事業者団体に該当するところ、官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する沖縄地区の環境衛生管理業務について会員に受注予定者を定めさせ、受注予定者が受注できるようにさせることにより、また、沖縄県が発注する県庁本庁舎に係る環境衛生管理業務について受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、官公庁等が発注する沖縄地区の環境衛生管理業務の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって、これは、同法第8条第1項第1号の規定に違反するものである。」

4. 旧地方自治法による住民訴訟と入札談合
奈良県入札談合住民訴訟事件−大阪高判平成13年3月8日
談合を理由とする賠償請求の場合には「談合に加わった業者すべてが不法行為による損害賠償義務者となる」。(4)請負契約が違法かどうかが問題となる場合には、請負代金が違法に高いかどうかが監査の対象であるのに対し「談合という不法行為が問題となっている場合は、業者が談合したかどうか、業者の談合により普通地方公共団体に損害が生じたか否かが監査の対象となる」。

5. 下水道事業団談合刑事事件−東京高判平成8年5月31日
「ルールの見直し及び改訂の状況と受注調整の実施状況とを併せ考えると、本件においては、受注調整による取引制限は、各年度ごとに独立して行われていることは明らかであり、各年度におけるルールの改訂からドラフト会議までの一連の作業をもって取引制限の実行行為と見るのが相当」である。本件の受注調整はルールの改訂に始まり、ドラフト会議における受注予定社の決定等に至るまでの一連の各被告会社所属の被告人17名の行為が実行行為であり、これにより不当な取引制限が成立して犯罪は既遂になった、すなわち、被告会社9社が共同して相互にその事業活動を拘束したものである。」
「各被告会社の関心は、専ら甲物件の受注予定社になることに向けられ」ていたことが認められるが「甲物件の規模が全国的であり、予算規模も巨額であることを併せ考えると、甲物件のみをもって『一定の取引分野』と認めるのが相当である」。

6. カルテルは継続犯か、状態犯か?
東京都水道メーター談合刑事事件−東京高判平成9年12月24日
−継続犯と明示した最初の判例−
「独占禁止法89条1項1号の不当な取引制限の罪は、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる事業活動の相互拘束行為とその遂行行為とを共に実行行為と定めている。また、その罪は、明らかに自由競争経済秩序を維持することを保護法益としている。さらに、事業者が不当な取引制限行為をした場合に課する課徴金は、原則として、その行為の実行としての事業活動を行った日からその行為の実行としての事業活動がなくなるまでの期間を基礎としてこれを算定するものと定められている(同法7条の2第1項)。
 これらのことからすると、その罪は、右のような相互拘束行為等が行われて競争が実質的に制限されることにより既遂となるが、その時点では終了せず、競争が実質的に制限されているという行為の結果が消滅するまでは継続して成立し、その間にさらに当初の相互拘束行為等を遂行、維持又は強化するために相互拘束行為等が行われたときは、その罪の実行行為の一部となるものと解するのが相当である。」

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