御器谷法律事務所
新会社法−登記、公告、罰則、施行期

第1 登記・公告査役とは、
  1. 支店の所在地における登記事項の大幅な整理
     旧法では、会社の支店の所在地における登記簿には、本店における登記とほぼ同内容の事項が登記されています。
     しかし、この数年で商業登記のコンピュータ化が図られ、支店の所在地から本店の所在地における登記簿に係る情報へのアクセスも容易になっているため、新会社法では、会社の商号、本店の所在場所、登記を行う支店の所在場所を登記すれば足りることとされました(会社法930条2項)。

  2. 社外取締役
     旧法では、取締役が社外取締役であるときはその旨を登記しなければならないこととされています。
     しかし、特に中小企業において登記懈怠の状態となっている例が少なくないという指摘もされており、社外取締役である旨について一律に登記事項とする必要性は乏しいため、新会社法では、社外取締役である旨については、原則として登記事項から削除するものとし、定款の定めに基づく契約の方法による責任制限や三委員会の設置等、社外取締役の存在が法律上の効果をもたらす場合にのみ、社外取締役の登記が義務付けられることになりました。

  3. 公告
     旧法では、株式会社についてのみ、定款の必要的記載事項として、官報、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙または電子公告のいずれかの公告方法が要求され、公告方法が登記事項とされています。
     新会社法では、すべての種類の会社について、公告方法が定款の任意的記載事項とされました(法939条1項)。外国会社も、その種類を問わず、会社法2条33号の公告方法として官報、日刊新聞紙または電子公告のいずれかを公告方法として定めることができることになりました(法939条2項)。
     なお、公告方法は、登記事項とされています(法911条3項28号〜30号、912条8号〜10号、913条10号〜12号、914条9号〜11号、933条2項5号〜7号)。


第2 罰則
  1. 新会社法では、払込みの責任を免れる目的で他人名義で株式を引き受ける罪(株式払込責任免脱罪)が廃止されました。
    このような規定が削除された理由は、会社法では、設立時においても、株式の引受人が払込期日までに払込みをしなければその権利を当然に失うことになるので、引受人が払込みの責任を免れようとする行為を処罰する必要性がなくなったからです。

  2. 新会社法では、特別背任罪(法960条)等に関する国外犯の規定の新設されました(法971条)。
    このような規定が新設された理由は、会社の活動が国際化し、取締役が国外で会社に損害を与えるようなケースも増えていることに対応するためです。

  3. 新会社法では、利益供与罪(法970条)に関する自首減免の規定が新設されました。
    このような規定が新設された理由は、利益供与に加担した役職員の内部告発を促すため、自首による任意的な刑の減軽または免除という特典を与えることにあります。


第3 施行期日・経過措置
  1. 施行期日
     新会社法は、「公布の日から起算して1年6月を越えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とされています。具体的には平成18年5月ころを目処に施行される予定になっているようです。
     ただし、合併等対価の柔軟化に関する部分については、さらにその1年後に施行することとされています。この部分だけ施行が遅くなったのは、合併等対価の柔軟化が行われることにより合併がより行いやすくなるため、その前段階として株式を買い集めて企業を買収しようとする投資意欲が増大し、その結果として企業価値を損なうような敵対的買収も増加するのではないかとの懸念もあるので、各会社に定時株主総会において定款変更を要する企業防衛策を採用する機会を保障するためです。

  2. 会社法施行時にすでに設立されている有限会社の取扱い
     会社法施行時にすでに設立されている有限会社は、会社法上の株式会社として存続することになります。有限会社法に特有の規律については、会社法施行後も有限会社法の規律の実質が維持されるとともに、商号についても「有限会社」の文字を用いるべきことされています(整備法3条1項)。
     そのため、整備法においては、このように特則の適用がある旧有限会社を「特例有限会社」と呼ぶこととしています(整備法3条2項)。

  3. 新会社法施行に伴う定款変更、登記申請
    (1) 商法上の株式会社については、商法特例法上の大会社、みなし大会社、小会社および委員会等設置会社について定款のみなし規定があり、他に、1)取締役会および監査役を置く旨、2)株式譲渡制限会社である場合にあってはその発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該新株式会社の承認を要する旨の定め等があるものとみなされます。
     また、登記については、1)取締役会設置会社である旨、2)監査役設置会社である旨、3)株券発行会社である旨の登記がされたものとみなされるため、例外的な場合を除き、これらの登記申請をする必要はありません(整備法113条)。
    (2) 合名会社や合資会社については、特段の定款変更や登記申請は不要です。

  4. 会社法施行前から存在する端株の取り扱い
     会社法施行後も存続が認められ商法の規律(整備法86条1項)が適用されます。

この新会社法につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

ウィンドウを閉じる