御器谷法律事務所

債権譲渡登記

1.債権譲渡特例法の概要

債権譲渡の第三者対抗要件は、譲渡人から第三債務者に対する確定日付ある証書による通知もしくは第三債務者から譲渡人または譲受人に対する確定日付ある承諾が必要とされております。しかしながら、譲渡債権が多数ある場合に、個々の債権譲渡について以上のような手続を踏まなければならないとすると非常に煩雑になりますし、コストもかかります。そこで、法人が行う金銭債権の譲渡等について、民法の特例として、法務局に債権譲渡登記をすることにより、債権譲渡の第三者に対する対抗要件が具備されたこととなる等を内容とした法律が制定され、平成10年10月1日より施行されました。

この法律を債権譲渡特例法(正式には、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)といいます。

もっとも、第三債務者保護のために、第三債務者に対して当該債権譲渡を対抗するには、該債権の譲渡人もしくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、または、当該債務者が承諾したときは、はじめて、第三債務者に対しては対抗要件が具備されたことになります。

2. 債権譲渡特例法についての注目すべき判例
債権譲渡登記について、注目すべき最高裁判所の判決が下されましたので、以下事案及び下級裁判所の裁判例とともにご紹介いたします。

(1) 事案の概要
本件は、訴外甲社から、同社が第三債務者に対して現在有し、または将来取得する債権を譲り受け、その旨の登記(債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律・債権譲渡特例法)を最初にX社が、次にY社が経由しました。Y社は、X社の債権譲渡登記は債権発生の始期の表示を欠いているので第三者に対抗できないと主張し、X社はY社の債権譲渡登記は、譲渡債権の種類を正しく表示していないから第三者に対抗できないと主張しました。そこで、第三債務者は本件債権を債権者不確知を理由に供託しました。そこで、X社とY社が、相互に供託金の還付請求権が自己に帰属することの確認請求を求めた事例。

(2) 第1審

X社の請求認容。Y社の請求棄却。
理由:終期の記録のない場合には、終期の定めがない旨の登記と解するのが合理的である。

(3) 第2審
X社、Y社の請求をともに棄却。

理由:
1) X社について
本件告示で債権発生年月日の終期の記録が任意とされているのは、債権の発生日が一つの日である場合は、記録する必要がないが、それが数日に及ぶときは記録しなければならないという趣旨であり、終期の欄が空欄である以上、X社の債権譲渡登記は債権発生年月日の始期当日に発生した債権の譲渡についてしか対抗力を有しないところ、同日に発生した債権と供託に係る本件報酬債権とが同一であるとの証拠はないから、X社は同債権の譲り受けをY社に対抗できない。
2) Y社について
Y社の債権譲渡登記は、債権の種類を売掛債権としており、本件報酬債権の譲渡を公示しているとはいえないから、Y社は同債権の譲受を第三者に対抗できない。

(4) 最高裁判所の判断(最高裁判所 平成14年10月10日第1小法廷判決)

1) X社について
結論:
上告棄却の判決

理由:
債権譲渡登記に譲渡に係る債権の発生年月日の始期は記録されているが、その終期が記録されていない場合には、その債権譲渡登記に係る債権譲渡が数日にわたって発生した債権を目的とするものであったとしても、他にその債権譲渡登記中に始期当日以外の日に発生した債権も譲渡の目的である旨の記録がない限り、債権の譲受人は、その債権譲渡登記をもって、始期当日以外の第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。
 けだし、上記のような債権譲渡登記によっては、第三者は始期当日以外の日に発生した債権が譲渡されたことを認識することができず、その公示があるものとみることはできないからである。

2) Y社について
結論:
上告棄却の決定

理由:
Y社の上告論旨は、Y社の債権譲渡登記について、譲渡債権の表示が売掛債権と記録されていることから、それが本件報酬債権の譲渡を公示しているものとは認められないとした原審の判断に理由不備・食い違いがあるというものであるが、その実質は単なる法令違反の主張にすぎず、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に当たらない。

 この債権譲渡登記につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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