企業と法律―商業登記
1.商業登記制度とは
わが国の経済活動においては、会社による活動が大きな位置を占めています。
しかし、会社の実際の経済活動は、その代表者を通じて行われることとなるので、会社と取引するにはその代表者が誰なのかを知る必要があります。また、会社は、一定の目的達成のために設立されているものですから、取引に当たってはその会社の目的、業務内容を把握しておく必要があります。
このような会社に関する事項を含め、取引の安全・円滑化を図るために必要な一定の事項を、登記所に備え付けられた帳簿(商業登記簿)に記載し、公示しておくのが商業登記の制度です。
2. 商業登記の効力
1) 登記すべき事項は、登記をした後でなければ、それを善意(その事実を知らないことをいいます。)の第三者に対し主張することができません。
2) 故意又は過失により不実の事項を登記した者は、その事項が不実であるということを善意の第三者に主張することができません。
3) 会社が成立するのは、設立の登記をしたときからです。
3. 登記事項の変更等、登記懈怠の場合の過料
登記事項に変更・消滅を生じたときは、遅滞なく(株式会社の登記事項に変更を生じた場合、本店の所在地においては2週間、支店の所在地においては3週間内に)その旨の登記をなすことを要します。登記すべきであるにもかかわらず、これを怠ると100万円以下の過料に処せられることがあります。
4. 株式会社登記簿について
株式会社について登記されている事項の主なものには下記のような事項があります。
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商号 |
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株式会社の商号中には、株式会社という文字を用いなければなりません。
また、他人が登記した商号を同市町村内で同一の営業のために登記する等もできません。 |
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本店所在地 |
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会社が公告をする方法 |
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官報や新聞に掲載するといった方法があります。 |
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会社成立の年月日 |
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会社は、設立の登記によって成立します。 |
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目的 |
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会社は、定款に定められた目的の範囲内において権利・義務を有します。
ただし、会社の目的自体に包含されない行為であっても、目的遂行に必要な行為は、目的の範囲に属するとされます。 |
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会社が発行する株式の総数、発行済株式の数及び資本の額 |
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株式会社は、会社が発行する株式の総数として登記された株式数内であれば、会社の成立後、資金調達等のため、新株を発行することができます。 |
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役員に関する事項 |
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取締役、代表取締役及び監査役の氏名並びに代表取締役の住所が記載されていますので、代表取締役については住所変更があったときも変更登記が必要となります。新会社法では、社外取締役の一部は登記する必要がなくなりました(会社法911条3項25条)。 |
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株式の譲渡制限に関する規定 |
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株式会社の株主が他者に株式を譲渡することは、原則として自由にできますが、会社によっては、株式を他者に譲り渡す際、取締役会の承認を要する旨が定款によって定められていることがあります。そのような場合、当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなければならないと記載されています。
なお、新会社法では株式譲渡制限の定めは独立の登記事項ではなくなりました(会社法911条3項7号)。 |
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その他、新会社法では、各会社が選択した機関設計、例えば取締役会を設置したこと、会社参与を設置したことなどを登記事項としたり(会社法911条3項15号、16号)、株券の発行自体を登記事項としたり(911条3項10号)するなどして新しい株式会社制度に合わせて登記事項が大きく変わっているとともに、支店の所在地における登記事項について大幅に簡素化を図っています(会社法930条2項)。 |
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