平成13年12月改正−平成14年 5月施行
1. 取締役、監査役の責任軽減化
…商法266条 7項以下、280条
(1) 取締役の商法266条 1項 5号に基づく責任につき、取締役が善意(違反行為であることを知らなかった)かつ重過失がなく、さらに下記a)ないしc)以下の要件を満たす場合には、その責任が軽減される旨、法改正がなされました。
a) 株主総会の特別決議及び監査役の同意
(特別決議の要件:総株主の議決権の過半数を有する株主の出席及びその議決権の
3分の 2以上に当たる多数による賛成)
b) 定款の規定、取締役会決議及び監査役の同意
(但し、総株主の議決権の100分の 3以上を有する株主が一定期間内( 1か月以上)に異議を述べたときを除く)。
c) 社外取締役につき、定款による規定及び事前軽減契約
(社外取締役:会社(含 子会社)の業務を執行しない取締役であって、過去にその会社等の業務執行取締役等となったことがないもの)
(2) 責任の内容(限度)
代表取締役 報酬等の 6年分
社内取締役 報酬等の 4年分
社外取締役、監査役 報酬等の 2年分(契約で予め定める額と比較しいずれか高い方)
(3) 監査役についても、上記規定が準用されています。
2. 監査役の機能強化
…商法260条の 3、273条
(1) 監査役の取締役会への出席義務及び意見陳述義務
従前、監査役の権利と定められていたものにつき、これを義務として規定することとなりました。
また、商法特例法上の大会社については、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は、その就任の前に会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人となったことがない者でなければならない、と定められました。
さらに、社外監査役につき、その就任前に会社またはその子会社の取締役または支配人その他の使用人となったことがないものと規定されることとなりました(従来は、就任前
5年以上、会社等の取締役等でなかった者と規定されていました)。
(2) 監査役の任期
監査役の任期は、就任後 4年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとするものと定められ、従来の
3年から 4年へと伸長されました。
これは、監査役の監査機能を強化する目的によるものです。
3. 株主代表訴訟制度の合理化
…商法267条以下、275条の 4
(1) 会社が株主からの請求があった日から60日以内(従前は30日)に訴えを提起しないときは、その請求をした株主は、代表訴訟を提起することができると定められました(監査役の熟慮期間の伸長)。
(2) 会社が、取締役の責任を追及する訴えを提起したときは、遅滞なく、訴えの提起をした旨を公告し、または株主に通知しなければならなくなりました。
(3) その他の改正
訴訟上の和解における取締役の責任免除制度の整備、また会社による被告取締役側への補助参加手続の整備がなされました。