御器谷法律事務所

相続Q&A

Q4-3.遺留分の算定と価額弁償とは?

A. 回答


◎遺留分の算定方法
1. 遺留分算定の一般論
 遺留分は、被相続人が相続開始のときに有した財産の価額に、その贈与した財産の価額を加え、この額から債務の全額を控除して算定します(民法第1029条)。
 そして、これに遺留分の割合を乗じ、さらに各人の法定相続分を乗じます。
 その後、遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定すべきものとされています(最高裁判所平成8年11月26日判決)。
 以上を表とすると、次のようになります。

2. 平成21年最判のケース
 ところが、実務上よく問題となることがある、相続人の一人に全財産を相続させる旨の遺言に関して遺留分が主張された最高裁判所平成21年3月24日判決は、次のように判示しました。
 先ず、このような遺言がなされた場合の相続債務は、少なくとも相続人間の内部関係では、遺産を取得した者がすべて承継するものとしました。つまり、「相続人のうちの一人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり、これにより、相続人間においては、当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。」と判示しました。
 そして、このような場合、遺留分の侵害額の算定にあたって相続債務を加算すべきではないと明言しました。つまり、「相続人のうちの一人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ、当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないものと解するのが相当である。」と判示しました。

◎価額弁償
 受贈者や受遺者は、遺留分減殺を受ける限度で、目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還義務を免れることができるものとされています(民法第1041条)。訴訟上は、これを「価額弁償の抗弁」と言うことがあります。
 この価額弁償は、抗弁として受贈者等が主張するものとされ、遺留分権者の方からその価額弁償を直接請求することは一般的には認められていませんが、実務上は価額弁償の金額をめぐっての争いが多くあります。
 そして、この価額の算定の基準時については、現実に価額弁償をするときの時価と解されており、判例(最高裁判所昭和51年8月30日判決)においては訴訟の事実審口頭弁論の終結時をもって目的物の価額算定の基準時とされています。

 この遺留分の算定と価額弁償につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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