御器谷法律事務所

立川市談合住民訴訟
−東京地裁 平成19年10月26日判決

1. 事案の概要

2. 判決−要点のみ
(1) 談合の基本合意に基づく共同不法行為の成立について−NO
 以上によれば、原告らの主張する基本合意に基づく、被告ら全員に対する共同不法行為による損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。
(2) 個別の談合合意に基づく共同不法行為の成立について−YES
 以上によれば、被告大成建設は、本件工事1、2及び4について行われた談合に基づく入札によって立川市に生じた損害について、また、被告飛島建設は、本件工事3、5及び6について行われた談合に基づく入札によって立川市に生じた損害について、それぞれ民法715条に基づいて賠償する責任を負う。
(3) 損害額の認定方法
 本件各工事について談合がされていなければ形成されたであろう落札価格に基づいた契約金額と、談合に基づいて現実に締結された請負契約に係る契約金額との差額が、立川市の損害額になると考えられる。
 しかしながら、現実に行われなかった公正な価格競争の存在を仮定し、その場合の落札価格を証拠に基づいて具体的に認定することは、実際にはおよそ困難であるところ、本件においては、立川市において損害が生じたことは認められ、その損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるというべきであるから、民事訴訟法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を認定すべきである。
 そして、そもそも不法行為に基づく損害賠償請求権が、社会に生起した損害の公平な分担という見地から認められたものであることに鑑みれば、民事訴訟法248条によって認定すべき損害額は、存在する資料等から、ここまでは確実に発生したであろうと考えられる範囲に抑えた額ではなく、むしろ存在する資料等から合理的に考えられる中で、実際に生じた損害額に最も近いと推測できる額をいうものと解すべきである。
 (2)そこで、本件各工事の際に、仮に談合がなかったならば、いかなる価格で落札されたと予測するのが合理的であるかについて考えてみるに、前記第3の2(1)で認定したとおり、平成12年9月27日に公社発注の土木工事について公取委の審査が開始された後には、落札率は大きく下がり、平成12年10月1日から平成17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事139件の落札率の平均値は89.85パーセントであったことが認められる。そうすると、仮に本件各工事が、公取委による談合の取締りがされるようになった後に行われたとしたならば、本件各工事の各落札率ではなく、89.85パーセント程度の落札率で落札された可能性が高いと推測することは決して不合理ではない。たしかに、・・・のとおり、上記期間の公社発注の工事に関する落札率には、ある程度のばらつきがあることが認められるが、それらのばらつきと工事内容、区域、金額、落札者等との間で、有意な関係を認められるだけの資料は見出し難く、他に本件各工事に談合がなかったとした場合の落札価格を推測すべき適切な資料はない。
 そうすると、本件各工事については、談合がなければ、それぞれ予定価格の89.85パーセント程度で落札されたであろうと推測することが、存在する資料からみて最も合理的な推測方法であるということができよう。そして、・・・によれば、公社発注の工事の入札価格は、10万円未満の端数が生じない価格で入札されることが一般的であることを考えれば、予定価格の89.85パーセントを掛けて算出した価格について、10万円未満を四捨五入して算出した価格をもって、談合がなければ落札されたであろうと推測される価格と考えるのが相当である。

3. 参照条文
民事訴訟法248条
損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
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