御器谷法律事務所

ベンチャー起業論―「会社設立と法的リスク管理」
(本書は多摩美術大学の臨時講師の際の原稿をもとに作成しています)

1.ベンチャー起業―会社設立

 1 会社とは何か?
   ―営利を目的とする社団法人(個々の自然人とは別個独立の法主体)
 
 2 なぜ会社なのか?
   
―会社のメリット

  (1) 有限責任
    ―会社の債務は会社財産の限りで責任を負えば足りる
      =出資のみのリスク(but、現実は連帯保証による個人責任大)

  (2) 多額の出資を募り、大規模な事業展開が可能
    特に株式の公募により不特定多数の出資を広範に募ることができる

  (3) 社会的信用が大きい、永続性がある
    ―取引上も会社でないと不可能なことも、又、事業継続が有利

  (4) 税務上会社の方が有利
     ―個人の所得税は超累進課税、
      事業規模拡大とともに会社の法人税の方が有利


 3 有限会社か、株式会社か?

< 有 限 会 社 > < 株 式 会 社 >
対象 閉鎖的小規模会社 大規模企業
最低資本金 300万円 1,000万円
出資者 50名以内 無制限(株式)
組織 取締役は1人で可 代表取締役、取締役は3名以上、監査役、株主総会
出資の譲渡 出資社員以外の譲渡には社員総会の承諾 原則として株式譲渡は自由
設立、その後の手続 簡 便
  
取締役変更登記等任期毎に必要の手続


 4 株式会社の方が対外的信用大、上場の際のメリット


 5 株式会社の設立手続の概要

< 発 起 設 立 >

発起人(1人でも可)

定款の作成、認証
(会社の目的、商号、資本金等)

銀行への株金払込

発起人会
(取締役、監査役を選任)

取締役会
(代表取締役を選任)

設立登記
< 募 集 設 立 >

発起人

定款の作成、認証

株主の募集、株金の払込

創立総会
(取締役、監査役を選任)

取締役会
(代表取締役を選任)

設立登記
 
 6 株式会社成立の費用、手続

  (1) 費用
    最低資本金1,000万円ならプラス40〜50万円位
  (2) 手続
    弁護士、司法書士にまかせる。
    または、日本法令等の書式を利用して自分で行う。


2.ベンチャー企業をとりまく法的リスクとその管理

どんな法的リスクがあるか? 設立、株式、経営権、人事、雇用、取引、契約、債権回収、成長等毎に法的リスク(my→our→your companyへ)
whyベンチャー企業でか?
人的、物的基盤の脆弱さ。技術開発型ベンチャーにおける技術への過信
対応を誤るとその影響は甚大、ベンチャー企業の命取りにもなりかねない


法的リスクへの対処
・大企業 総務部、人事部、外部監査法人、特許室、審査法務部、社内弁護士の充実、顧問弁護士・弁理士との連携、コンサルティング会社からの指導、証券会社との契約等、内部的織及び外部組織との関係が充実
・ベンチャー企業 内部的組織は未成熟、外部組織との関係が薄い

急成長ベンチャーにこそ「つまづきの石」がひそんでいる
「餅は餅屋に」:法的リスク管理は、弁護士、税理士、弁理士、会計士等の法的専門 家にアウトソーシングして対処と 予防と戦略に努める
        
 1 設立時の法的リスク管理―株主構成が経営権の安定を決定づける
    商法―株主多数決により経営権は決定される
        経営者は株式の過半数を握る必要あり

 2 会社経営における法的リスク管理
   ―商法における株式会社の組織の理解が不可欠

株 主 総 会 監査役を選任
監査役
  取締役を選任
重要事項の決議
取 締 役 会 意見陳述
選任
監督
代 表 取 締 役  監査

代表取締役 会社の対外的代表権、執行機関
but、取締役会において監督、解任も可

取締役の責任 会社に対して―株主代表訴訟提起によるチェック
対第三者―会社の倒産時に、悪意・重過失あれば損害賠償責任あり
中小企業―B/K、主要取引先への連帯保証責任あり
刑法上―横領、背任、粉飾決算、違法配当等


 3 人事、労務管理における法的リスク管理
   ―ベンチャー企業ではその成長に人が追いつかない側面がある

○労働法、男女雇用機会均等法等への理解が不可欠
  ―賃金の成果主義、能力主義、年俸制への移行が顕著
  ―フレックス・タイム制、女子労働保護規定の見直し
  ―セクハラ問題への企業の対処
  ―労災:電通訴訟、オタフク・ソース訴訟等、自殺、過労死が問題化
  ―退職時の秘密保持、同業他社への移籍禁止誓約書の有効性
  ―刑法:業務上横領、背任等


 4 知的所有権をめぐる法的リスク管理

対外的 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、ノウハウ、キャラクター権、マーチャンダイジング権等
対内的 特許戦略―知的所有権を経営戦略の一環として利用         
アウトソーシング―外注契約の明確化、瑕疵への対処、守秘義務の履行の確保


 5 取引契約の重要性

   得意先―カルテル、談合:独占禁止法、刑法
   アウトソーシング―外注契約の書式化
   消費者―製造物責任法
   広告―景表法(公正取引委員会)

 6 債権管理、債権回収における法的リスク管理

  (1) 契約書の管理―民法、商法―各種契約書のフォーマット化
  (2) 決済制度―手形、小切手による回収とそのリスク
  (3)
債権担保
担保
物的担保
抵当権等
人的担保
連帯保証
            債権の流動化
            仮処分、仮差押―民事保全法
            訴訟の提起―民事訴訟法
            強制執行―民事執行法

 7 企業の成長における法的リスク管理

    my company :ベンチャー企業の設立―商法、業法
       ↓
    our company :人、物、取引の増大―税法
       ↓
    your company:株式公開―証券取引法
                 商法:総会屋対策
    M&A(企業買収)による企業の物的、人的資源の確保

 8 倒産をめぐる法的リスク管理

   (1) ベンチャー企業の倒産―墜ちた「ベンチャーの星」
      →取締役への責任追及:刑法、商法
   (2) 取引先の倒産―連鎖倒産の危険―債権管理の重要性
倒産法
清算型
破産、特別清算
再建型
会社更生、民事再生、会社整理

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