御器谷法律事務所

遺言書Q&A

Q3. 遺言書の執行

A. 回答

1. 遺言執行者の地位及び権限について
 遺言執行者とは、遺言者に代わって遺言者が遺言書において表示した最終意思を実現するものであり、遺言書による指定を受けた者(民法1006条)、又は、家庭裁判所により選任された者(民法1010条)をいいます。
 遺言執行者は、「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」(民法1012条)ものとされており、遺言書で定められた範囲内で相続財産に対する一切の管理処分権を有しています。
 したがって、遺言執行者がある場合においては、たとえ相続人といえども「相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない」(民法1013条)とされておりますので、十分ご注意下さい。

2. 遺言執行者の就任について
 遺言執行者が遺言の執行者に就任することを承諾した時は、直ちにその任務を行わなければならない、ということになっております(民法1007条)。
 そして、遺言執行者は、その遺言執行者に就任した旨を相続人・受遺者、その他の利害関係人に通知し、遺言書の写しを開示、交付することとなります。
 また、この利害関係人としては、通常は遺言者が預貯金をしていた銀行及び郵便局、さらには株券を有しておればその株式を発行している会社及び名義書換代理人としての信託銀行等が考えられます。
 そして、遺言執行者は、遺言の執行を全うするために遺言者の相続財産の調査をする権限を有し、また、その相続財産に係わる書類等を自己の管理下におくことになります。

以下、相続人の確定と各相続財産につきご説明いたします。
(1) 相続人の確定について
 まず遺言者の相続人が誰かを確定するために遺言者が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等を申請し、且つ、相続人及び受遺者等の戸籍謄本も遺言執行者の権限に基づいて申請するということになります。

(2) 不動産について
 遺言者の不動産については、名寄帳の申請等について相続人の協力が必要な場合がありますので、その折はご協力の程何卒宜しくお願いいたします。

 遺言執行者としては、不動産について不動産登記簿謄本を申請し、また、場合によっては固定資産評価証明書を申請することがあります。
 相続財産である不動産については、遺言書の趣旨に添って所有権移転申請をし他の第三者が申請することを防ぐ等のため必要でありますので、不動産登記済権利証及び遺言者の実印は遺言執行者がお預りいたします。また、不動産についての貸借関係及び使用関係の調査のためにご協力をお願いする場合があり、また、貸借の契約書等を遺言執行者にお見せ願う場合がありますので、この点でもご協力をお願いいたします。

(3) 預貯金について
 預貯金については、遺言者の死亡日現在の残高証明書を申請いたしますので、その折に相続人の方のご協カをお願いすることがあります。
 預貯金については、遺言書の趣旨に則りその名義変更をする場合と遺言執行者においてその預貯金を解約し一旦は遺言執行者の口座に預け入れ、その後、遺言の趣旨に添って分割する場合があります。
 預貯金に関して、預貯金の通帳・証券類・届出印がある場合におきましては、遺言執行者がこれらをお預りいたします。
また、銀行に遺言者の貸し金庫がある場合におきましては、遺言執行者が貸し金庫を開ける際には必ず相続人の立会いをお願いするものであります。
 預貯金につきましては、遺言者の死亡の旨を直ちに銀行及び郵便局にご連絡の程をお願い申し上げます。いわゆる預貯金を凍結することとなります。

(4) 株券について
 株券につきましては、これを発行している会社及び名義書換代理人、証券会社に遺言者が亡くなった旨を直ちにご連絡下さい。あるいは遺言執行者においてもこれを連絡いたします。
 遺言執行者において遺言の趣旨に添って名義書換の請求をいたしますので、株券及び届出印ないしは保護預り証は遺言執行者がお預りいたします。

(5) その他の債権について
 遺言者において、貸付金や預け金等の債権がある場合におきましては、これに関する債権証書類を遺言執行者がお預りいたします。

3. 財産目録の調製について
 遺言執行者は、遺言者の相続財産を調査し、遅滞なく財産目録を調製し、これを相続人に交付しなければならない、とされております(民法1011条)。
 なお、この財産目録の調製については、相続財産を特定して記載すれば足り、'その財産を評価して価額を記載すべきことは要請されておりません。
 また、この財産目録につきましては、積極財産のみならず負債等の消極財産も記載する場合がありますが、遺言書が特定の財産に関する遺言のみをしている場合におきましては、この財産目録もその特定の財産についてのみ調製すれば足りるとされているところであります(民法1014条)。

4. 執行の費用について
 弁護士が遺言書の執行をする場合におきましては、その遺言の執行が終了した後、その手数料を請求することができるとされております。
 この遺言執行手数料につきましては、かつて東京弁護士会弁護士報酬会規に規定されていたところであり、これは、執行の対象である相続財産の価額に応じて手数料が算出されることになっておりした。現在は同会規は廃止されており、あくまで参考とされています。
 なお、この遺言執行の手数料につきましては、一般的には遺言の執行が完了した後、相続入の代表者の方に請求書を発送しお支払いいただくことになっております。また、遺言書の執行により各相続入及び受遺者がその取得した財産に応じて、つまりいわゆる受益割合に応じてその執行手数料を負担する場合もあります。
 この弁護士の遺言執行手数料の他に遺言執行について実費がかかった場合においては、これらの実費の負担は相続人及び受遺者の方に負担していただくことになります。具体的には、不動産における司法書士手数料、登録免許税、及び、株券等の名義書換手数料、その他郵送代、戸籍謄本申請料、固定資産評価証明申請料、不動産登記簿謄本申請料、遺言執行者の旅費・交通費等の実費が考えられます。

5. 遺言執行の終了について
 遺言執行者が遺言の執行を終了した時は、お預りしました書類、印鑑等をお返しいたします。
 また、遺言執行手数料及び実費等の清算をいたします。
 なお、場合によっては、遺言執行者任務終了の通知をすることがあります。

旧東京弁護士会「弁護士報酬会規」(参考)
−遺 言 執 行 の 手 数 料−
基本 < 経 済 的 利 益 > 手数料
300万円以下のとき  30万円
300万円を越え、3,000万円以下のとき  2%+24万円
3,000万円を越え 3億円以下のとき  1%+54万円
3億円を越えるとき 0.5%+204万円
特に複雑又は特殊な事情があるとき 弁護士と受遺者との協議により定める額
遺言執行に裁判手続を要するとき 遺言執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士報酬を請求することができる

 この遺言書につきましても、遠慮なく当事務所にご相談下さい

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